奈良国立博物館所蔵の「水月観音像」の月光が、描き手によってどのように表現されたのか。それを解明するために復元模写を通して作品制作が始まった。
どんな顔料をどのくらいの厚さや濃度で彩色したら、原本の色調に近づくのかを試す。いくつもの彩色サンプルを作って、顔料を混ぜる時の比率などを確認する。
深夜12時ぐらいから描き始め、明け方の3時~5時が一番集中できる時間帯。
顔料によって粒子が違う。描いていない時は、絵具の調合、微妙な色の調整に時間を使う。
ほとんどの高麗仏画は織目の粗い絵絹に描かれ、絹の裏側に白色と赤系の顔料が用いられて厚手の裏彩色が施されている。表側には天然の岩を砕いて作った岩絵具で彩色されている。(撮影/金慧印)
作品を手がけ始めたのは、2017年。完成したのは、2019年11月下旬。昨年10月~11月は、作品と寝食を共にした。1時間以上、作品から離れたことがなかった。