高カカオチョコレートを週1~2回以上、2年を超えて食べる習慣が高齢者の抑うつ症状の少なさと関連する可能性

高カカオチョコレートを週1~2回以上、2年を超えて食べる習慣が高齢者の抑うつ症状の少なさと関連する可能性名古屋市の地域在住高齢者を対象とした疫学研究により確認

 株式会社 明治(代表取締役社長:八尾 文二郎)ならびに国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(理事長:荒井 秀典)老年学・社会科学研究センターの野坂 進之介特任研究員、島田 裕之センター長、および鈴木 隆雄理事長特任補佐らからなる共同研究グループは、名古屋市に在住する70歳以上の日本人高齢者を対象とした横断研究により、高カカオチョコレート※1を週1~2回以上、2年を超えて継続して摂取する習慣を持つことが、チョコレートをほとんど摂取しない場合※2と比べて、抑うつ症状の少なさと関連する可能性を示しました。当研究成果は、栄養学分野で評価の高い国際学術誌Frontiers in Nutritionに2026年9月11日に掲載されました。(Nosaka, et al. Front. Nutr., 2026, https://doi.org/10.3389/fnut.2026.1924057)。また、本成果は2026年10月13日から17日にかけて開催された国際学会ICPH & ICoFF 2026※3(The 12th International Conference on Polyphenols and Health and the 9th International Conference on Food Factors 2026)にて発表されました。

 

※1 高カカオチョコレート:カカオ分を70 %以上含むチョコレート

※2 チョコレートをほとんど摂取しない場合:本研究において、チョコレートの摂取頻度に関する設問(選択肢:ほとんど毎日食べる、2日に1回程度食べる、週に1~2回食べる、ほとんど食べない、わからない)において、「ほとんど食べない」と回答した者を対象とした集団

※3 ICPH & ICoFF 2026:第12回ポリフェノールと健康国際会議/第9回国際フードファクター会議 合同会議

 

【研究成果の概要】

 自宅生活を送る70歳以上の日本人高齢者において、高カカオチョコレートを長期間摂取する習慣が、抑うつ症状の少なさと関連する可能性が示されました。

①高カカオチョコレートを週に1~2回以上、2年を超えて継続して摂取する習慣を持つことが、チョコレートをほとんど摂取しない場合と比較して、抑うつ症状の割合が低いことと関連する傾向があることがわかりました。

②チョコレートを習慣的に摂取している集団に限定し、高カカオチョコレートの摂取習慣がない場合と比較した際には、高カカオチョコレートを長期間継続摂取する習慣が抑うつ症状の割合が低いことと関連性があることが示されました。

 

【研究成果の活用】

 超高齢社会の日本において、高カカオチョコレートの継続摂取による心の健康の維持の可能性を研究することで、健康寿命の延伸に寄与していきたいと考えています。

 

【研究の目的】

 近年、高カカオチョコレートやカカオに多く含まれるポリフェノールと、気分や心の健康との関係を調べた研究の報告は増えてきています。しかし、これらの先行研究の多くは欧米諸国を対象としており、食習慣や遺伝的背景の異なる日本人での報告はほとんどありません。また、高齢者を対象とした研究もほとんどありませんでした。そのため、本研究では自宅生活を送る日本人高齢者を対象に調査を行うことで、高カカオチョコレートの摂取習慣と抑うつ症状の関係を明らかにすることを目的としました。

 

【研究概要】

 愛知県名古屋市に住む70歳以上の日本人3,910名を対象に、対面でのアンケートや機能的能力測定を行い、普段のチョコレートの摂取習慣や生活習慣等の関係を評価する横断研究を実施しました。参加者のうち、必要なデータがそろった2,957名を、チョコレートの摂取習慣に関する質問票への回答に基づき、次の4つのグループに分けて比較しました。

 

・チョコレートをほとんど食べない方 

・チョコレートの摂取習慣がある方で、高カカオチョコレートはほとんど食べない方 

・チョコレートの摂取習慣がある方で、高カカオチョコレートの摂取頻度が週1~2回以上、摂取期間が2年以下の方 

・チョコレートの摂取習慣がある方で、高カカオチョコレートの摂取頻度が週1~2回以上、摂取期間が2年を超える方 

 

 抑うつ症状は、高齢者向けの15項目の質問票(GDS-15※4)を用いて確認しました。また、年齢、性別、生活習慣、持病、認知機能など、結果に影響する可能性がある要因を考慮して分析しました。

 

※4 GDS-15:老年期うつ病評価尺度。高齢者の気分や心の状態について質問し、落ち込みや意欲の低下などの程度を確認するためのアンケートであり、普段の気分や生活の様子に関する質問への回答をもとに、心の健康状態を評価する。

 

論文内容

【タイトル】

名古屋市の地域在住高齢者における自己申告の高カカオチョコレート摂取と抑うつ症状:横断研究

(Self-reported dark chocolate consumption and depressive symptoms among community-dwelling older adults in Nagoya, Japan: a cross-sectional study)

 

【方法】

①名古屋市に住む70歳以上の高齢者3,910名を対象に、対面でのアンケートや機能的能力測定を通じて食品摂取や日頃の生活習慣、身体状態、抑うつ症状等の関係を評価する横断研究を実施しました。

 

②介護認定を受けている方、認知症のある方、認知機能検査(MMSE)の得点が低い方、またはチョコレート摂取状況や抑うつ症状評価などの必要なデータが不足している方を除外し、最終的に2,957名を解析対象としました。

 

③ 調査の結果、チョコレートの摂取習慣をもとに参加者を「チョコレートをほとんど食べない群=チョコ非摂取」「高カカオチョコレート以外のチョコレートを習慣的に食べている群=一般チョコ摂取」「高カカオチョコレートを週1~2回以上食べ、その期間が2年以下の群=高カカオチョコ短期摂取」「高カカオチョコレートを週1~2回以上食べ、その期間が2年を超えて継続している群=高カカオチョコ長期摂取」の4群に分類し、特徴を分析しました。

 

④高カカオチョコレートの摂取と抑うつ症状との関連を調べるため、ロジスティック回帰分析※5を用いて解析を行いました。解析にあたっては、高カカオチョコレートの摂取状況との関連を検証するとともに、年齢、性別、教育年数、所得、体格指数(BMI)、喫煙・飲酒習慣、食事の多様性、糖尿病、脂質異常症、高血圧、心疾患および認知機能の影響を統計的に調整しました。

 

【結果】

①解析対象となった2,957名のうち、高カカオチョコレートを週1~2回以上摂取していると回答した方は1,000名であり、その中で2年を超えて継続摂取している高カカオチョコ長期摂取群は727名(全体の24.6%)でした。

 

②参加者の背景として、4群における抑うつ症状がある方の割合は8.3%~13.2%であり、そのうち抑うつ症状がある方の割合が最も低かったのは高カカオチョコ長期摂取群でした。

 

③ロジスティック回帰分析の結果、年齢や性別、生活習慣、持病、認知機能などの影響を考慮した後も、高カカオチョコ長期摂取群では、チョコ非摂取群と比較して抑うつ症状が少ない傾向が示されました(オッズ比※6 0.73、95%信頼区間0.53~1.01、p=0.055)。(図A)

 

④チョコレートを摂取している方のみを対象とした追加解析では、一般チョコ摂取群と比較して、高カカオチョコ長期摂取群で抑うつ症状が少ないことが示されました(オッズ比 0.62、95%信頼区間0.43~0.88、p=0.008)。(図B)

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202610208338-O8-JX2h5g51】

図A. 高カカオチョコ長期摂取者とチョコ非摂取者における抑うつ症状との関連性

(当該論文に記載の表より作成)

年齢、性別、教育年数、等価所得、体格指数(BMI)、喫煙・飲酒習慣、食事の多様性、糖尿病、脂質異常症、高血圧、心疾患および認知機能の影響を統計的に調整した分析の結果。高カカオチョコの長期摂取がチョコ非摂取の場合と比較して抑うつ症状の少なさと関連する傾向があることが示唆された。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202610208338-O11-4WfOVw1D】

図B . 高カカオチョコ長期摂取者と一般チョコ摂取者における抑うつ症状との関連性

(当該論文に記載の表より作成)

年齢、性別、教育年数、等価所得、体格指数(BMI)、喫煙・飲酒習慣、食事の多様性、糖尿病、脂質異常症、高血圧、心疾患および認知機能の影響を統計的に調整した分析の結果。高カカオチョコの長期摂取が一般チョコ摂取の場合と比較して抑うつ症状の少なさと関連することが示唆された。

 

【考察】

 当研究の結果から、地域在住の日本人高齢者において、高カカオチョコレートを長期間摂取する習慣は、抑うつ症状の少なさと関連する可能性が示されました。なお、本研究は横断研究であり、高カカオチョコレートの摂取と抑うつ症状との因果関係を明らかにするためには、今後、前向き研究や介入研究が必要です。

 

※5 ロジスティック回帰分析:いくつかの要因をもとに、ある事象が起こる確率を説明・予測する解析。また、ある事象に対する要因の影響度を測定することもできる。本研究の場合、一例としては高カカオチョコレートを習慣的に長期間摂取しているか否かが抑うつ症状を持つ方の割合にどのように関連するかを解析している。

※6 オッズ比:統計学では、ある事象が起こる確率と起こらない確率の比をオッズと呼ぶ。オッズ比は、ある事象の起こりやすさを比較して示す際に用いられる。オッズ比が1より大きい場合は、その事象が起こりやすいことを示す。

 

配信会社から提供を受けたコンテンツやプレスリリースを原文のまま掲載しており、J-CASTトレンドが制作した記事ではありません。お問い合わせは配信会社・プレスリリースの配信元にお願いいたします。
共同通信PRワイヤー