「定員超過」立命館、特別転籍で謝罪 新設学部で「合格」のさじ加減誤った?

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   大学への「全入時代」が指摘されて久しいが、定員よりも多くの学生を入学させた新設学部が、文科省からの補助金の減額をおそれて他学部への「転籍」を募集していたことが明らかになった。大学側は、「不適切だった」として謝罪に追い込まれたが、専門家からは「新設学部には志願者が大量に集まるため、『歩留まり』を見積もるのは本当に難しい」との指摘もある。

入学定員の超過率が多いと補助金は交付されない

   問題が発覚したのは、08年4月に開設されたばかりの、立命館大学生命科学部(滋賀県草津市)。新設学部ということもあって、280人の定員に対して、一般受験で9298人が受験。2957人が合格し、266人が入学手続きを行った。系列校から持ち上がった人を含めると、415人が同学部に入学手続きを行い、入学定員超過率は1.48倍にも達した。

   文部科学省の私立大学等経常費補助金の交付基準は、入学定員の超過率が1.3倍未満(新設は経過措置で1.4倍)に設定されており、これを満たさないと補助金は交付されない。大学がむやみに学生数を増やし、教育の質が低下するのを防ぐための措置だ。このため、同大では超過率を1.4倍未満にするため、他学部への転籍希望者を25人募集することを決定。その結果、8人が転籍の申請をし、全員が認められた。

   ところがこの問題が広く報じられるようになると、4月16日になって、大学側は会見し、川口清史学長が「(転籍は)助成が不交付にならないことのみが目的という疑念を持たれる措置」などと述べ陳謝。入学者の人数調整を目的とした「特別転籍」を今後行わないことを明らかにした。

   このような「特別転籍」が行われるのは異例だが、「定員問題」が浮上する例は他にもある。例えば07年4月には、法政大学の「デザイン工学部」に、定員280人のところ、その1.37倍にあたる383人が入学。「補助金問題」とは別に、過去4年間の超過率が学部単位で1.3倍未満でないと、学部などを翌年度に増設するための申請ができない決まりがある。そのため、同大は08年4月に開設予定だった「スポーツ健康学部(仮称)」の開設を1年延期せざるを得なくなった。

   このような状況を、「大学ランキング」(朝日新聞社刊)の編集長を12年務めた清水建宇さんは、

「大学にとっては、入学者が減るのは困るし、定員オーバーしたら補助金がもらえなくなるという『痛し痒し』の状態。通常であれば、合格者のうち、どれくらいが実際に入学するかの『歩留まり』は、過去の実績からある程度は予測できるのですが、今回の立命館の場合は、新設学部ということもあってそのノウハウがなかった。『関関同立』といった競合校に多く合格者が流れると予想していたのでしょうが、それが外れてしまったのでしょう」

と解説。

ブランド大学であれば、どの学部でもというのは良くない

   今回、「特別転籍」した8人の転籍先は、法学部、経済学部、理工学部、薬学部の4学部。理系・文系が混在していることについては、

「『何を学びたいか』すなわち『どの学部に入りたいか』を先に決めるべき。学びたい中身で進学先を選ぶのが筋でしょう。『ブランド大学に入れるのであれば、どの学部でもいい』というのは良くない。就職活動の時も、『上場企業ならどこでも良い』ということになってしまうのでは」

と、苦言を呈している。

   今回は、たまたま「定員超過」という事態にみまわれたが、基本的には、私立大学は苦しい状況に置かれている。日本私立学校振興・共済事業団の調べによると、07年度で定員割れに追い込まれているのは、実に大学の4割、短大の6割。その一方で、

「受験生には『大都市指向』『有名大学・ブランド志向』が強く、このふたつを満たす大学による寡占化が進んでいます」

と清水さんは指摘する。これを裏付けるかのように、代々木ゼミナールの調べによると、07年春の大学入試では、私立の有名15大学が延べ出願者数の37%を占めている。「上位2割の大学が全体の8割を取る」という状況に近いのだという。

   そうなると、地方の無名校の生き残りは絶望的なのだろうか。清水さんは、

「いいえ、地方の大学でも、例えば国家資格の取得に力を入れている、といった『小粒でもピリッと辛い』大学は生き残れるでしょう。逆に、地方にあって、特に特徴がなくて歴史が浅い…、といった大学は厳しいのではないでしょうか」

と話している。

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