大ブーム終わった「ケータイ小説」 ベストセラーランク登場せず

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   ひところ女子中高生中心に大ヒットした「ケータイ小説」だが、2008年以降は目立った話題作が出ていない。紀伊国屋書店が発表した08年ベストセラーランキングをみても、100位圏内にも入っていないのだ。ケータイ小説がブームとなり、大手出版社が参入して作品数が激増。その結果、読者が分散して大ヒットが生まれにくくなっているという。

08年は100位圏内に1冊も入っていない

   紀伊国屋書店で2008年にもっとも売れた単行本・新書は、1位「夢をかなえるゾウ」(飛鳥新社)、2位「ハリー・ポッターと死の秘宝」(静山社)、3位「B型自分の説明書」(文芸社)、4位「生命の法」(幸福の科学出版)、5位「女性の品格」(PHP研究所)などとなっている。集計期間は07年12月~08年11月、国内全63店舗の販売データをもとに累計した。

   直近では、1位「オバマ演説集」(朝日出版社)、2位「読めそうで読めない間違いやすい漢字」(二見書房)、3位「男道」(幻冬舎)、4位「『脳にいいこと』だけをやりなさい!」(三笠書房)、5位「勇気の法」(幸福の科学出版)となっており、実用書やビジネス書が売れている(09年1月19~25日)。

   07年に大ヒットした「ケータイ小説」は見あたらない。携帯電話で読めるという手軽さが、活字離れが著しいと叫ばれている女子中高生にうけ、07年の年間ベストセラーランキング(単行本・文芸部門、トーハン調べ)で上位3位をケータイ小説が占めた。数百万部を売り上げた「恋空」(スターツ出版)や「赤い糸」(ゴマブックス)は映画化、ドラマ化もされた。ブームは去ったのか。

   紀伊国屋書店、店売推進部の担当者は、

「07年には複数のケータイ小説がランクインしましたが、08年は100位圏内にも入っていません。今でも新刊が出れば販売し、店によっては特設のコーナーも設けているのですが・・・」

と話す。

   ベストセラー「赤い糸」を出版したゴマブックス(東京都港区)。

「何百万部と売れていた07年と比べると、話題性のある作品が出てきていないですね」(マーケティング部担当者)

   一方、同社は「赤い糸」の著者メイ氏による新刊「Eternal Love」を08年12月に初版50万部(上・中・下巻、合計)発行しており、「力を入れている書籍については、売れ行きはいい」という。

   同社が運営しているケータイ小説サイト「おりおん」では、「赤い糸」がドラマ化、映画化された08年12月以降にアクセス数が伸び、会員数は4倍に増えた。マーケティング担当者は「新しいファンも増えており、(ケータイ小説に)興味がなくなったわけではない」と説明する。

インディーズのおもしろみがなくなった?

   魔法のiらんど(東京都千代田区)は、運営するケータイ小説サイトに投稿された作品70タイトル以上を書籍化している。サイト全体での利用者は600万人、月間ページビューは35億。月に数冊のペースでスターツ出版、ぶんか社、双葉社などから出しており、累計売り上げは1700万部(1月末現在)。

   広報担当者は、

「『恋空』が07年に群を抜いて売れましたが、このところ大ヒットがありません。ただし、ケータイ小説の人気に陰りが出てきたというより、安定してきた、とみています」

と強調する。

   恋愛もの主流から、SFやホラーへとジャンルが拡大し、投稿者も女子中高生から主婦やOLへと広がっている。

   一方、ケータイ小説に詳しい出版関係者は最近の動向について、こう話している。

「それはもう、散々たるものですよ。(ケータイ小説が)儲かるとわかり大手出版社が参入したあたりから、ぐちゃぐちゃになった」

   1か月に1~2作品程度だったのが、大手が参入してから10冊以上出るようになった。この結果、読者が分散して1冊あたりの売上げは落ちた。ベストセラーは生まれにくくなり、ケータイ小説は「おわった感が漂っているように見える」。もっとも売上げ全体でみると、「そこまで減っていない」。初版2~3万部程度なら時間をかければ売れるので、他ジャンルの書籍に比べて返品も少ないのだとか。

   そうは言っても、以前のように毎月新刊を出すのは厳しい。

「作家の人気が安定してプロっぽくなり、新人も出にくくなっています。素人が作るというインディーズらしさがうけていましたが、おもしろみがなくなってしまいました」
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