政治漂流 2010参院選 
機密費からマスコミへ回ったカネ 「個室で記者に30万円」証言
ジャーナリスト上杉隆さんに聞く

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   官房機密費を使って政治評論家へカネを渡した――そんな野中広務・元官房長官の証言が波紋を広げている。機密費公開の是非を巡る議論へも影響を与えそうだ。評論家だけでなく大手マスコミ関係者へのカネの流れについても追及しているジャーナリストの上杉隆さんに聞いた。

受け取るのが永田町の常識、拒否は非常識

「個々の政治家から来る会合・講演依頼は、かつての秘書仲間関係の話を除き断っています」と話す上杉隆さん
「個々の政治家から来る会合・講演依頼は、かつての秘書仲間関係の話を除き断っています」と話す上杉隆さん

――「機密費からマスコミへ回ったカネ」の問題で、上杉さんは、官邸秘書経験者ら数十人の官邸関係者へ取材したそうですが、浮き彫りになった実態はどのようなものですか。

上杉 例えば、記者クラブの各メディアから計10人ほどが参加する不定期の編集委員懇談会で、帰りに菓子などを渡す際「お車代」も入れ、「かつてはひとり50万円が(お車代の)相場だった」という証言もありました。盆暮れに番記者を1人ずつ呼び出し、個室で平均30万円ぐらいずつ配る、と話す人もいました。

――マスコミ側は受け取りを認めたのでしょうか。

上杉 元産経新聞政治部記者の評論家、俵孝太郎さんは、政府の様々な審議会委員を務める中、「半年に1度ぐらい、官房長官らが(日当とは別の)数十万円持って挨拶に来ることはあった」と認めました。野中さんが「断ったのは1人だけ」と実名を挙げた評論家の田原総一朗さんは「受け取るのが永田町の常識で、拒否するのは非常識」と話していました。私も、受け取っていない人の方が圧倒的に少ない、とみています。

――受け取りを否定した人もいましたか。

上杉 元毎日新聞政治部記者の評論家、三宅久之さんは、「内閣からカネをもらったことは一切ない」「野中さんからは菓子折ひとつもらってない」と否定しました。しかし、第2次中曽根康弘内閣で官房長官になった、大学の後輩でもある故・藤波孝生氏から、忙しくなったため藤波氏が講演することができなくなったので、代わりに講演してほしい、と依頼されたそうです。引き受けたら秘書が100万円を持ってきたので、「藤波のポケットマネーだと思って受け取った」とも話しました。これで「機密費を受け取っていない」というのは私には詭弁に聞こえます。
   ある官邸秘書経験者は、官邸が直接渡すのとは別に、有力議員や秘書、自民党幹事長室などを経由させてマスコミへ機密費を配布していた、と明かしています。こんなことは政治の世界に長くいれば常識でしょう。官房長官もした藤波さんのカネの出元は機密費だな、とピンと来ないようでは鈍いと言われても仕方ありません。

大マスコミは調査せずに「受け取りありません」

――評論家以外の反応はどうでしたか。

上杉 複数のテレビ局の幹部からは、私が入手した機密費の配布リストの内容を教えてくれ、と電話がかかってきました。局の番組に出演する評論家たちの名前が入っているかどうかを知りたがっていて、慌てぶりが伝わってくるようでした。しかし、新聞などはこの問題を掘り下げようとしません。東京新聞が自社幹部へ取材した記事が唯一の例外で、ほかは野中さんのインタビューを載せるぐらい、ほとんどは野中さんの講演会での発言を小さく伝えた程度です。

――新聞社やテレビ局にも個別に質問されたそうですね。

上杉 社内の記者に機密費が渡されたことはあるか、と社内調査をしたか・する予定はあるか、の2点を大手新聞・テレビ・通信社に週刊ポスト取材班と共に質問し、同誌(6月18日・25日合併号)で報じました。全社、事実上ゼロ回答で、ほとんどの社は、調査もせずに「ありません」と答えてきました。「ないと確信」とか「聞いておりません」というのもありました。「政治とカネ」をマスコミが追及する際、政治家や党が調査もせずに「ありません」と答えたら、「説明責任を果たせ」とどれだけ激しく批判することでしょうか。
   個人的なことになりますが、この問題を週刊ポストで報じ始めた(2010年)5月中旬から、テレビ局からの仕事依頼が激減し、なくなってきています。機密費の話をされると困るという空気がまん延しているようです。

――上杉さんは、ニューヨークタイムズ東京支局の記者経験者ですが、海外での事例はどうなのでしょうか。

上杉 アメリカではメディア側の警戒心が強く、「2ドルルール」「5ドルル―ル」などの自主ルールが設けられています。300円のコーヒー代程度を超えたら賄賂とみなされる、という感じです。これを破れば完全にメディア界から追放されます。

――マスコミへの機密費使用問題で、政治側がやるべきことは何でしょうか。

上杉 基本的には政治側でなく、メディア側の意識の問題だと思います。自主的に対応可能なはずで、そのためには社内調査などのウミを出す作業も必要でしょう。菅内閣でも仙谷由人官房長官が、使途公表のルールづくりなどを検討した鳩山由紀夫内閣の方針を引き継ぐ考えを表明しています。例えば100年後に公開、などでも良いのではないでしょうか。100年後には関係者は存命していないでしょうが、名誉に関わる話ですので十分「抑止力」になると思います。

上杉隆さん(@uesugitakashi) プロフィール
うえすぎ たかし 1968年、福岡県生まれ。ニューヨークタイムズ東京支局の取材記者などを経て、鳩山邦夫衆院議員の公設秘書も経験。現在フリーのジャーナリストとして主に政治分野やゴルフを取材している。CS放送の朝日ニュースター「ニュースの深層」で司会(火曜担当)も務める。著書に「官邸崩壊」や「ジャーナリズム崩壊」、「なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか」などがある。

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