2024年 4月 26日 (金)

再生可能エネルギーの国民負担「大膨張」予測 2017年に年間1.2兆円 12年度の4.6倍増

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   太陽光や風力などの再生可能エネルギーでつくった電気を固定価格で全量買い取る制度(FIT)による国民負担が5年後の2017年には年間約1兆2000億円になるとの試算を電力中央研究所の研究者がまとめた。

   電力会社が買い取り価格の変更がないとの前提だが、初年度にあたる2012年度の4.6倍に膨れ上がることになる。

国民負担、5年後には「月額400円」上昇か

国民負担が大きいのは、太陽光発電の買い取り価格が高すぎるから?(写真は、ソーラーパネル)
国民負担が大きいのは、太陽光発電の買い取り価格が高すぎるから?(写真は、ソーラーパネル)

   電気中央研究所の主任研究員、朝野賢司氏によると、1キロワット時(kWh)あたり太陽光発電の買い取り価格を現行の42円、風力発電が23.1円(20kW以上)、水力発電25.2円(1000kW~3万kW以上)などの再生可能エネルギー全体を合算して算出した場合、2012年度の電力会社の買い取り総額を資源エネルギー庁は、50億5000万kWh、2600億円と見込んでいる。

   買い取り対象となる再生可能エネルギーの発電量の内訳は、太陽光発電が37億kWh、風力が7億kWh、水力1億5000万kWh、バイオマス5億kWhになる。地熱発電はゼロだ。

   朝野氏はこれをベースに、7月に国際エネルギー機関(IEA)が出した再生可能エネルギーの普及状況の予測値をもとに、買い取り価格の変更がないと仮定して試算したところ、2015年には累計総額で1兆2600億円、17年には3兆300億円になると予測した。

   17年度には累計で、太陽光発電が258億kWhと約7倍にも発電量を増やし、風力が64億kWh、水力16億5700万kWh、バイオマス105億kWh、地熱も13億kWhに「成長」するとみている。

   それに伴い、7月1日から始まった固定価格買い取り制度により、8月分の電気料金から一般家庭の場合で、12年度は月額平均で87円が上乗せされる。それが2017年には約400円まで上昇する見通しだ。

   朝野氏は「買い取り価格は原則1年ごとに見直されることになっていますが、附則で施行後3年間は変更しなくてもかまわないようになっていますから、少なくとも3年間は変更されないでしょう。国民負担を減らすには、この買い取り価格を下げるしかないのに、です」と説明する。

太陽光発電の買い取り価格が「高すぎる」!

   再生可能エネルギーの買い取り価格は、太陽光や風力、水力など電源ごとに違う。しかも電力会社が買い取る価格は、買い取り開始年度に適用された価格が10~20年間続く。そのため、現行の買い取り価格が「高い」と値踏みすれば、12年度中に設備を整え運用を開始してしまえば、発電所は儲かることになる。

   とはいえ、それが可能なのは太陽光発電だけ。いま、太陽光発電の設備投資にかかるコストは安くあげられる。「風力や地熱は建設に5年以上かかるのに、太陽光はわずか2か月で運用できるようになります。しかも太陽光パネルの在庫は欧州で余っていますから、仕入れも安くあげられる」(前出の電力中央研究所の朝野氏)。

   買い取り価格が下げられれば、国民負担も下げられる。朝野氏は「日本の太陽光発電の買い取り価格(42円)は高すぎます」と指摘。「急ぎ、下げるべき」と主張する。

   買い取り制度で先行するドイツの太陽光発電の買い取り価格は、1kW/hあたり13~19円(1ユーロ=100円換算)と日本の半値以下だ。

   すでに電気料金の内訳をみると、「燃料費調整額」として液化天然ガス(LNG)など火力発電向けの燃料価格の上昇分が転嫁されている。また、現行では太陽光発電の余剰電力を買い取る「太陽光発電促進付加金」が上乗せされ、8月からはさらに「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加算される(2015年4月以降には一本化される予定)。

   原子力発電の運用状況や燃料価格によっては火力発電の稼働が増えて「燃料調整額」がますます上がるので、国民負担は増すことになる。「5年後、月額400円」ではすまない可能性もある。

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