体はどこも悪くないのに… 被災者の精神的苦しみ【岩手・陸前高田発】

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陸前高田の奇跡の一本松(2012年7月30日撮影)
陸前高田の奇跡の一本松(2012年7月30日撮影)

   陸前高田はこの3月11日で震災から丸2年を迎えます。震災のあった年は、みんな生きるのに必死でした。悲しみも、苦しみも、無常も必死で乗り越えました。1周忌は、とても緊張していました。それでも、東北人の忍耐強さで、不平も言わずその状況に感謝し、仮設住宅で2度目の暑い夏を過ごしました。

   秋になっても、1年前と暮らしの状況が変わらず、夏の暑さで疲弊した体や精神は、限界を迎えたようでした。最近は、体を検査してもどこも悪くないのに、不眠、食欲不振、不安を訴える人が多くなりました。昔から絆の強かったコミュニティーは一瞬にして壊れ、親しかった友人が生存しているのか、どこの仮設に住んでいるのかもわからず、孤独な人が多くなりました。

   今、まだ被災者の苦しみは続いています。それは、経済的、肉体的、精神的な苦しみです。経済的な苦しみは、仕事がない、仕事場がなくなった、収入がない、存在しない住宅のローンを払っている、次の家の資金調達が困難、ローンが組めない、などといった問題です。肉体的な苦しみは、仮設住宅の不便さや狭さ寒さ暑さをしのぎ順応する苦労、生活物資を調達することの不便さ、医療機関へのアクセスの不便さなどでしょう。精神的な苦しみは、家族や家や大切なものを予期せぬ事態で一瞬のうちになくしたこと、コミュニティーの喪失、震災当時の事を思い出す、時々起こる地震や津波警報で恐怖がよみがえること、などです。

   ある日、私と同じ仮設に住んでいる小父さんが道端で、「先生~俺だってさ~母ちゃんと息子が見つからなかった時1ヶ月は眠れんかった~捜さなくちゃいけなかったし…2人が遺体で見つかってからも眠れんかったぞ…これから俺はどうなるのかって…でもな~それでも俺はさ~生きて行かなきゃならないんだよ。それでも生きなきゃならないんだよ…だからさ~先生…おれは人がどう言おうと前向きに生きることにしたんだよ…いつまでもくよくよ昔の事や津波がもし来なかったらな~とか考えてもしょうがないんだよ。それでも生きなきゃならないんだ。」と話してくれました。この方は私のクライアントではありませんが、日常の生活の中でこのように心を開いて話してくださる、この方の背中をみて心で合掌しました。

   このような状況下で、月曜から金曜までは陸前高田市教育委員会の緊急支援カウンセラーとして、教員と保護者対応にあたり、土曜日や他に都合がつく時間は、鵜浦医院で教育委員会対応枠外の方々にカウンセリング、心理教育、コンサルテーションを行っています。一人でも多くの陸前高田の方々の心の苦しみが軽くなるようにと微力ながら日々願って精進しています。まだまだ多くの問題を抱え、普通の生活が出来ない状況下での暮らしを強いられている被災者の方々や被災地をどうか忘れないで下さい。

(佐藤 文子)



佐藤 文子
臨床心理学博士・メンタルヘルスカウンセラー・アートセラピスト。多摩美術大学大学院卒業後、米国で臨床心理学博士・心理学修士・アートセラピー修士を取得。アメリカで臨床経験を積み、2010年帰国。元シアトル医療評議員。2012年より、陸前高田市緊急支援カウンセラーとして、カウンセリング・心理教育・子育て支援・教育講演などを行う。陸前高田市の鵜浦医院でもコンサルテーションを実施している。

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