2024年 4月 26日 (金)

巨人師弟コンビ「国民栄誉賞」に疑問の声 ゴジラ松井の受賞「早すぎないか」

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   プロ野球で一時代を築いた長嶋茂雄氏と、大リーグでも活躍した松井秀喜氏の2人が同時に国民栄誉賞を受賞することが確実となった。巨人時代は監督と選手の枠を超えて師弟関係を結び、その絆は今も固い。

   長嶋氏に対しては長年の功績から「むしろ受賞するのが遅いくらい」との声が上がったが、松井氏の場合は昨季現役を引退したばかり。「ほかにふさわしい候補者がいたのでは」と首をかしげる人もいる。

記録面では2人を上回る選手がいる

ミスターとゴジラのダブル受賞を報じる各紙
ミスターとゴジラのダブル受賞を報じる各紙

   「ミスター&ゴジラ」の国民栄誉賞ダブル受賞。長嶋氏は、現役時代ははつらつとしたプレーや、天覧試合でのサヨナラ本塁打など「記憶に残る選手」としてファンを魅了。監督としては日本一に2度輝き、後に球界を代表する選手を何人も育てた。名実ともに「ミスタープロ野球」のスーパースターだ。

   長嶋氏の愛弟子のひとりが松井氏。巨人に入団後は期待通り4番に座ると、2002年には50本塁打を放つ。2003年にニューヨーク・ヤンキースに移籍するとここでも勝負強さを発揮し、2009年のワールドシリーズでは日本人選手初のMVPに選ばれた。

   2人とも輝かしい実績を残している。だが、過去に野球選手として国民栄誉賞に選ばれた王貞治氏、衣笠祥雄氏と比べると、王氏は世界最多記録を更新する756号本塁打(通算では868本)を放ち、衣笠氏は世界新記録の2131試合連続出場といずれも「世界一」の称号を得ていた。賞を辞退したイチロー選手(現ヤンキース)も、大リーグでシーズン最多安打はじめ数々の記録を更新している。記録面だけをみると、長嶋氏や松井氏を上回る人物は少なくない。

   実際に、2013年4月1日に開かれた菅義偉官房長官の記者会見では、報道陣から「成績だけ見ると野村克也氏や張本勲氏ら長嶋氏以上の成績を残している選手もたくさんいる」「大リーグで活躍した野茂英雄氏は対象にならないのか」と、2人の選考理由に質問が出た。松井氏は大リーグ移籍後、本塁打王や首位打者といった主要な個人タイトルは獲得していない。一方で野茂氏は日本人大リーガーの「パイオニア」的な存在として海を渡り、新人王や2度のノーヒットノーランを達成している。投手と野手の違いはあるが、実績面では松井氏に勝るとも劣らない。

   菅官房長官は、長嶋氏については国民的なスターとして社会に夢や希望を与え、野球界の発展に貢献した点を評価し、松井氏は現役引退したことを「ひとつの区切りだった」としたうえで、両氏への授与の要望が高かったと説明した。

「本人がもっとも戸惑っているのではないか」

   だが記録面を除けば、長嶋氏の受賞に異論を挟む向きは少ない。4月2日付のサンケイスポーツには、野球評論家の野村克也氏と江本孟紀氏がコメントを寄せた。野村氏は「長嶋にはとにかく人気がある。記録や業績だけで生まれるものではない」と称え、江本氏も「長嶋さんを第1号にしてしかるべきだった」「巨人ファンではなく、長嶋ファン。そういう人は他にいない」と絶賛する。

   一方、松井氏については「他にふさわしい人がいるのではないかとも思う」(野村氏)、「もっと球界に貢献してからでも遅くない」(江本氏)。「若すぎる受賞」には違和感があるようだ。

   スポーツジャーナリストの菅谷齊氏は、「『なぜ、今なのか』と首をかしげざるをえなかった」とする。一方で「松井の場合、本人がもっとも戸惑っているのではないか。『今後、何十年かけて、賞を頂いて失礼ではなかったと証明できるよう努力したい』とのコメントに表れている。まじめ人間だけに重荷にならなければいいが」と心配する。

   2人が同時に選ばれたのは、両氏が師弟関係にある点も考慮されたようだ。ドラフト会議で松井氏を1位指名し、巨人に入団させたのが当時監督だった長嶋氏。松井氏も2012年12月に引退を表明した際に、最も印象に残っているシーンに「長嶋監督と2人で素振りした時間」を挙げるほど、信頼関係は今もゆるぎない。1977年に定められた「国民栄誉賞表彰規定」によると、表彰の対象は「内閣総理大臣が本表彰の目的に照らして表彰することを適当と認めるものに対して行う」とあるだけで、具体的な選考基準があるわけではない。長嶋氏と松井氏の場合、野球での実績だけでなく、堅く結ばれた師弟関係といった人間性も含めて賞の授与にふさわしいと評価されたのだろう。

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