2024年 4月 26日 (金)

イオンの先兵になったダイエー 都市部中心のヨーカ堂攻めきれるか

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   流通最大手のイオンが2013年3月末、約20%を出資するダイエーに対して株式公開買い付け(TOB)を実施し、子会社化することを決めた。筆頭株主の丸紅から24%を追加取得し、店舗運営や仕入れの一本化などで赤字が続くダイエーの再建を進める。

   子会社化でイオンの連結売上高は6兆円超となり、セブン&アイ・ホールディングスなど2位以下を大きく引き離す巨大な流通グループが誕生する。市場の縮小が続くスーパー業界で、規模拡大と効率化で生き残りを狙ったものだ。

物流や商品調達などの共通化でコスト競争力確保

   3月27日に東京都内で記者会見した岡田元也イオン社長はダイエー株の上場を維持し、従業員の雇用もイオンへの出向などで維持する考えを示した。しかし、老朽店舗の統廃合などのリストラを積極的に進め、それぞれが展開するプライベートブランド(PB)商品も「両方持っている必要はない」(岡田社長)とイオンの「トップバリュ」に集約する。物流や商品調達などの共通化でコスト競争力の確保を図る。

   ダイエーは1980~90年代に球団経営やホテル事業など多角化を進めたが、バブルが弾けて過剰債務に苦しみ、2004年に政府の産業再生機構の支援を仰いだ。2006年に丸紅が44.6%の株を取得して筆頭株主となり、2007年にはイオンが丸紅から株を購入して第2位株主となり、2社が協力して再生を目指してきた。

   しかし、岡田社長が「誰が責任者なのかはっきりしなかった」と語るように、2大株主の連携がうまくいかず、ダイエーはリーマン・ショック後の2009年2月期から4期連続で最終赤字を計上。近く公表される2013年2月期も40億円近い赤字になる見通しで、経営不振から脱するには程遠い実情だ。

新社長に村井正平イオン専務執行役

   イオンは4月中にもTOBを実施し、丸紅が保有するダイエー株29%のうち24%を取得し、保有比率を4割超に引き上げる。さらにTOBに上限を設けず、一般株主の応募も含めて発行済み株式の5割超の取得を目指す。丸紅との協力関係は継続しながら、主導権を握ってダイエー再建を進める考えだ。

   子会社化で連結売上高が単純合算で約6兆5000億円、スーパー事業に限っても5兆円に達する。小売業界2位のセブン&アイ・ホールディングスのスーパー事業の約2兆円を大きく上回る。イオンはヤオハンやマイカルなど経営破綻したスーパーを吸収し、業界トップに上り詰めた。ただ、コンビニやドラッグストアのほか、ユニクロなど専門店の台頭もあり、スーパーの既存店売上高は2012年まで16年連続で減少を続ける。市場が縮み続ける中、水面下で合従連衡に向けた動きが続いており、イオンと丸紅も昨秋から経営体制の見直しの協議を進め、3月上旬に合意に至ったという。

   ダイエーの「イオン化」の第1歩はトップ人事。4月8日、丸紅出身の桑原道夫社長が5月の株主総会で退任し、新社長に村井正平イオン専務執行役を迎え入れる人事を発表した。村井氏は総合スーパー(GMS)事業を展開するイオンの中核会社、イオンリテール社長として改革に取り組み、在庫圧縮や人員配置の効率化でコストを削減しつつ、自転車や酒など自前の専門店を開発し、収益力を高めた。その手腕が買われたもので、赤字続きのダイエーの構造改革の切り札といえる人材だ。

   業界では、郊外型を中心に地方に強みのあるイオンが、都市部に地盤があるイトーヨーカ堂を攻める上で、都市部に強いダイエーを活用する戦略と受け止められるが、ダイエーの約200店舗のうち過半数は赤字店といわれる。そんなダイエーを対ヨーカ堂の先兵にいかに使うか、村井新社長の手腕が注目される。

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