2024年 5月 4日 (土)

高速道路「無料化」先送り 「2050年まで有料」を10~15年延長

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   道路4公団民営化の際に決められていた高速道路料金の無料化計画が先送りされる見通しになった。高速道路の在り方を検討していた国土交通省の有識者会議(部会長、寺島実郎・日本総合研究所理事長)が、2050年までとされていた高速道路料金の徴収期間(有料期間)を10~15年延長することを盛り込んだ中間答申をまとめたのだ。

   高速道路の大規模改修や建て替えなどの老朽化対策の費用を賄うことが狙いだが、無料化の先送りには国民から不満も出そうだ。

笹子トンネル天井板崩落事故が「追い風」に

   寺島部会長らは2013年6月25日に太田昭宏国交相に中間答申を提出、国交省はこれを受け、道路整備特別措置法などの改正案を来年の通常国会にも提出する見通しだ。

   無料化先送りの結論は、ある程度予想はされていた。東日本、中日本、西日本、首都、阪神の高速5社の試算では、更新や補修などの対策費は計7兆~12兆円も上必要とされていた。高速道路料金を値上げしたり、税金を投入するなど何らかの手当てでこの費用を賄わなければならないが、「料金の値上げは道路利用者から批判を免れず、税金投入は国民の理解を得ることが難しいだろう」(国交省関係者)との見方が強く、唯一の有効な方法と考えられたのが、高速道路料金の徴収期間を先延ばしすることだったからだ。

   そして、突然の追い風が吹いた。高速道路の莫大な老朽化対策費をどう捻出するかの課題に対し、有識者会議が協議を始めた直後の昨年12月、高度経済成長期に建設され、完成から30年以上がたつ中央自動車道笹子トンネルで天井板崩落事故が発生。想定外だった大事故に衝撃が広がり、全国のインフラの老朽化対策を進めなければいけないという機運が一気に盛り上がったのだ。

   そこで考え出されたのが次のような理屈だ。2005年の道路公団民営化時の計画は、道路各社は計約40兆円に上る債務を2050年までに完済し、それ以降は料金を無料にするというものだった。この返済計画を変えれば問題だが、完済計画自体は変えずに2050年までに返済を終えたうえで、料金の徴収期間を延長し、その分の料金収入をすべて更新や補修費に充てる、というのだ。民営化時には、そもそも道路の更新や補修を行うことを見込んでいなかったこともあり、徴収期間延長の理由としては妥当と判断された。

民間活力導入に関する議論も深まっていない

   ただ、7兆~12兆円の老朽化対策を行うには、実際には再び借金をすることが必要で、新たな債務を抱えることになる。しかも、更新や補修には終わりがなく、「7兆円も12兆円も必要かを厳密にチェックすべきで、国民に納得感があるものにしなければならない」(寺島部会長)と、必要額の厳正なチェックをするにしても、10~15年の徴収期間の延長で老朽化対策がすべて完了する保証はない。

   民間活力導入に関する議論も深まっていない。政府の経済財政諮問会議で、老朽化した首都高速道路の改修に民間資金を活用する新しいスキームとして、「空中権」の民間売却が論議されている。JR東京駅の復元工事で駅敷地の容積率の余った分を丸ビルなど周辺の事業者に売却することで工事費を捻出したように、首都高速道路敷地上の空間を利用する権利を周辺ビルなどに売却しようということだ。

   国交省によると、現在首都高には空中権の売却が可能とみられる部分が16%程度あり、まず手始めに銀座付近の空中権の売却を検討しているという。もちろん、膨大な改修費用に対して貢献は限定的だが、一定の効果は期待できるところ。広い意味の民間資金を活用した社会資本整備(PFI)の視点から、利用者へのツケ回しの前に議論しなければいけないテーマは多い。

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