2024年 4月 27日 (土)

斎藤佑樹、野球人生初の崖っぷちに立った いっそのこと「野手に転向したら」との声も?

   プロ入りしたときの大騒ぎがウソのようである。日本ハムの斎藤佑樹はテスト登板で結果を出すことができなかった。まさに投手生命のピンチ。そこで野手として再出発、との声も……。

約1年ぶりの一軍登板もメッタ打ち

   だれもが「うーん…」と言って下を向いたことだろう。2013年10月2日、362日ぶりに一軍のマウンドに立ったのだが、内容は評価に値しないものだった。5回途中でノックアウト。打者23人に対し、被安打5、四死球6、自責点6。暴投もあった。

「自分のなかでは、投げることができてよかった」

   斎藤の試合後の話だ。肩を痛めてずっと二軍で調整してきた。夏からピッチングを本格的に始め、二軍戦に登板するなど着実にスケジュールをこなし、その回復ぶりを見るテスト登板だった。来シーズンの使い方を首脳陣が判断するわけである。

   「よしっ」と思った首脳はいなかっただろう。というのはフォームが悪く、しっかりとした球がいかない。球威とか変化球のキレは久しぶりの登板だから二の次にしても、来年に期待できる形になっていなかった。一時期、甲子園で優勝したときの早実時代のフォームに戻すことも考えたというから、かなり深刻な状況に追い込まれていた。

「野球を辞めようかとも思った」

   そう口にしたこともあった。肩の故障はそれほどのショックで、手術も選択肢に入っていた。

   そんなころ、取材に来るメディアは連勝街道をばく進中の田中将大(楽天)に対する感想ばかりだったという。かつてのライバルは遙か彼方である。しかし、斎藤は田中のことになると、弱音を吐かない。

「いつかもう一度、と思っている」

   むしろ、改めて田中との対決を目標に、引退の気持ちを撤回したのかもしれない。ただ、田中との投げ合いは、かなり厳しい。

   斎藤にとって、来年は対田中どころか投手生命の岐路である。キャンプは調整などという生やさしいものではない。2年目となる大谷翔平との比較が待っている。150㎞/hの速球を常時投げる大谷とどう勝負するか。スター性をまだ失っていない斎藤を生かす道として野手転向の声も聞こえてくる。運動神経は抜群で、投手フィールディングを見たら内野手はできる。センスはいいから打撃も走塁もこなすだろう。

   斎藤自身は、このまま終わりたくない、との思いが強いだろう。しかし、もうチームはこれまでのように言い分を簡単には聞くはずがない。投手に先の見通しが立たなければ、野手で新たな道を探った方がいい。

   プロに身を投じたときはまさにフィーバーだった。とりわけ日本ハムの地元、札幌での関心度は大変なものだった。たとえばテレビの視聴率だ。11年の初登板のときは瞬間的には40%に届くような勢いだったし、昨年の開幕投手の完投勝利のときも30%を超えた。今は隔世の感がある。勝てなくなった投手は厳しい。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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