2024年 5月 6日 (月)

除染の遅れにいら立ち 積雪も影響【福島・いわき発】

   雪が積もると除染が難しくなる。正確な測定値が得られなくなるからだ。定点のモニタリング結果がそれを裏づける。おととし、平成24(2012)年2~12月の、いわき市小川地区の資料がある。測定値がグラフ化されている。戸渡(とわだ)地区だけは、欄外に「2月及び3月は積雪があります」と注が入っている(=写真)。


   いわきは、面積だけは小豆島を除いた香川県といい勝負だ。市としての面積が日本一のころは、最も狭い県の香川とよく比較して論じられたものだ。東に太平洋 が広がり、西に阿武隈の山々が連なる。そのため、東から西へハマ・マチ・ヤマの三層構造になっている。冬は晴れた日が多い。「サンシャインいわき」を自認するゆえんだ。とはいえ、ヤマは冬季、雪に覆われる。


   戸渡地区4カ所のうち、最も線量の高い「旧分校前」――。2年前の2月は毎時0.60マイクロシーベルトを切り、3月は0.70~0.80の間だったのが、雪が消えた4月には1.00を超えている。雪が土や水と同じように、放射性物質を遮蔽していた。


   セシウム134が2年余りの半減期を過ぎた今、「旧戸渡分校」は文科省のリアルタイム線量計で0.32台だ。昨年12月17日までは0.35前後で推移し、20日正午に0.28まで下がったあと、今の線量をキープしている。線量低減には雪が関係しているのかもしれない。


   阿武隈高地は冬、会津地方ほどではないが、地域によって銀世界になる。いわきの田人、三和、川前、小川といった山間部がそうだし、もっと北の田村市、葛尾村、飯舘村などがそうだ。


   除染作業に従事している知人と正月休みに茶飲み話をした。「飯舘村では除染作業が中断している」という。理由は積雪だ。葛尾村へ除染に通っていた別の人間も、今は楢葉町で仕事をしている。


   除染の遅れに住民はいら立ちを募らせている。福島県内の首長選で、かろうじて面目を保った相馬市を除き、現職落選が続いている。住民のいら立ちが現職批判となってあらわれたかたちだ。除染の遅れがこのまま続けば、4年後は当選組が同じ批判にさらされる。


   夏井川渓谷にある隠居(無量庵)で全体除染が行われたからいうのだが、除染には遅れだけでなく、内容についての不満・トラブルもある。作業を進めるにあたっては、事前にこまかく詰める必要がある。そのことはあとで。

(タカじい)



タカじい
「出身は阿武隈高地、入身はいわき市」と思い定めているジャーナリスト。 ケツメイシの「ドライブ」と焼酎の「田苑」を愛し、江戸時代後期の俳諧研究と地ネギ(三春ネギ)のルーツ調べが趣味の団塊男です。週末には夏井川渓谷で家庭菜園と山菜・キノコ採りを楽しんでいます。
■ブログ http://iwakiland.blogspot.com/

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