2024年 4月 26日 (金)

トヨタ、真紅のスポーツクーペ「FT1」公開 海外メディア「トヨタの退屈なデザインの時代終わった」

   トヨタ自動車が米国で開催中の「デトロイトモーターショー 2014」で初めて公開したスポーツクーペ「TOYOTA FT1」が、海外メディアの注目を集めている。

   「FT1」とは「Future Toyota」、「未来のトヨタ」のことで、「1」は「頂点」を表す。2009年6月の就任以来、スポーツカーやモータースポーツへの強い愛着をみせていた豊田章男社長の思いが込められているようでもある。

ソニー「プレステ」とのコラボも話題

米デトロイトモーターショーで公開されたスポーツクーペ「TOYOTA FT1」(画像は「トヨタ」リリースより)
米デトロイトモーターショーで公開されたスポーツクーペ「TOYOTA FT1」(画像は「トヨタ」リリースより)

   FT1は、トヨタが米国カリフォルニアに拠点を置くCalty Design Research, Incがデザインを担当したコンセプトカー。曲線的なボディや大胆な形状のフェンダーは、1967年発売の「トヨタ2000GT」から「セリカ」や「スープラ」、「MR2」、「86」と続く、トヨタのスポーツクーペの伝統を最新のデザイン手法で表現したという。

   設立40周年を迎えたCalty Design が「夢のスポーツカーに向けて米国で続けてきた挑戦の、一つの成果である」としている。

   パワートレインの詳細は公表されていないが、フロントにエンジンを積み、後輪を駆動するFR車で、高性能なエンジンに、最新のテクノロジーを組み合わせた。スポーツカーに相応しい低重心で機能的なコックピットとし、ドライバーが運転に集中して操る楽しさを体感できるようにデザイン。フォーミュラーカーを思わせるステアリングホイールや、三角形をモチーフにしたメーター類に、特徴的なLEDヘッドライトが未来的な印象を醸している。

   発売予定はないが、「トヨタのスポーツ車の将来像を示した」(Calty Design)と位置づけ、今後開発するトヨタ車のデザインに活かしていくようだ。

   コンピューターゲームとのコラボレーションで生まれたというユニークな開発経緯も話題。FT1は、ソニー・コンピュータエンタテインメントが2013年12月に発売し「PlayStation3」用ゲームソフト「グランツーリスモ6(GT6)」のためにデザインした、いわばゲームの「実車版」だ。

   2014年1月14日から「グランツーリスモ6(GT6)」のバーチャル版FT1のデータが無償配布されており、ゲームを通じてその高性能を体感できるようになっている。

   英デイリー・メール紙は「トヨタがソニーの『グランツーリスモ』でテストしたコンセプトカー、FT1を発表」との見出しで記事を掲載した。

「トヨタのスポーツカーへの回帰を示唆」

   米国で、「TOYOTA FT1」は好評のようだ。CNETは「トヨタの退屈なデザインの時代は終わった」と歓迎。ブルームバーグも、「将来の高性能スポーツカーのデザインを先取りしたコンセプトクーペだ。トヨタのスポーツカーへの回帰を示唆している」と評価している。

   トヨタの北米での売上高は、リーマン・ショック後、豊田章男社長の就任直後の2009~10年の大規模リコール問題により4期連続の減収となったが、12年以降は急回復。いまや北米市場は世界販売の「けん引役」だ。

   カムリやカローラ、ハイブリッドカーのプリウスといった経済性や堅実性で知られるモデルが売れ筋だが、そうした中でトヨタがスポーツクーペのFT1をデトロイトモーターショーにぶつけてきた背景には、「スバルと共同開発したFRスポーツカー、サイオンFR‐S(日本名「トヨタ86」)の成功に自信をもったのではないか」と、CNETはみている。

   数字のうえでも、トヨタは自信を取り戻しているに違いない。アベノミクスによる円安効果があったとはいえ、2013年11月に発表した14年3月期連結業績予想(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益で前期比66.6%増の2兆2000億円を見込んでいる。これはリーマン・ショック前の08年3月期に記録した過去最高益(2兆2703億円)に迫る好業績だ。

   公開された真紅のFT1は、就任6年目となる豊田章男社長の「自信」の表れでもあるのかもしれない。

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