2024年 5月 4日 (土)

オリックスが日本の米系生保を買収 国内で外資系生保の再編加速か

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   オリックスは、米保険大手ハートフォードの日本法人「ハートフォード生命保険」を買収する方向で最終調整に入った。買収額は900億円程度と見られる。オリックスは富裕層が多いハートフォード生命の顧客基盤を生かしてグループの保険事業を拡大する方針。外資系生保は日本市場で苦戦が続いており、再編が加速する可能性もある。

   オリックスは2014年4月、創業50周年を迎える。リース事業を中心に成長し、2000年代に拡大した不動産事業が収益の水準を高めて発展した。ただ、2008年秋のリーマン・ショックで、不動産に傾斜した経営があだとなる。赤字に陥ったわけではないが、2009年3月期の最終利益はピーク(2007年3月期、1965億円)の約10分の1の219億円に落ち込んだ。

宮内義彦会長の強いリーダーシップで「変身」

ハートフォード生命のWEBサイト
ハートフォード生命のWEBサイト

   ただ、変わり身の速さがワンマン経営の良い所でもある。機を見るに敏な宮内義彦会長の強いリーダーシップで、不動産事業はギュッと絞る一方、保険をはじめとする「リテール」と呼ぶ分野や、海外事業にカジを切る戦略をとった。最近では太陽光発電ビジネスにも注力している。もともと何をやっている会社か説明しにくかったが、その傾向がますます強まっている。

   今回のハートフォード生命買収もリーマン後の路線転換の延長線上にあるようだ。オリックスは傘下にオリックス生命保険があるが、主力商品は医療保険。高齢社会が進展するなか成長の余地がある分野ではあるが、大手や外資、損保系生保が入り乱れて競争も激しい。国内のがん保険ではガリバー的存在のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)といえども盤石とは言えず、2013年夏には新商品の保険料の値下げに踏み切る状況になっている。

欧米金融各社は中国や東南アジアの方が、日本より重要

   オリックスが買収するハートフォード生命は、貯蓄性の高い「変額年金保険」に強みを持つ。設立は2000年と日が浅い新興勢力だが、13年末の保有契約数は37万5000件、契約高は2兆3000億円。リーマン・ショック前までは変額年金のシェアで国内首位に上り詰めただけあって、規模は小さくない。医療保険を中心に約200万件の個人契約があるオリックス生命とすみ分けながら、グループとして一段の成長を遂げる可能性があると見込んだようだ。

   一方、国内市場攻略に悩む外資系はリーマン・ショック以降、撤退ムードが強まっている。ハートフォード生命もリーマン前までは順調に契約を集めたが、リーマン・ショックで運用成績が悪化したため、2009年に新規販売を停止。米国の親会社は日本事業をあきらめ、売却先を探していた。

   日本国内で変額保険を展開していた独アリアンツも、リーマン・ショックの打撃が大きく、2012年1月から新規販売を停止。英保険大手のプル-デンシャルは日本の生保事業を担う傘下のピーシーエー生命保険を、元野村証券の北尾吉孝氏が率いる「SBIホールディングス」に売却することで合意した。「欧米金融各社にとっては、中国や東南アジアなど今後の成長が見込める新興国の方が、日本より重要になりつつある」(大手行)との見方も出ている。

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