2024年 4月 19日 (金)

「中吊り広告」が消える! JR山手線、2015年秋に新型車両導入

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   東日本旅客鉄道(JR東日本)が開発した新型の通勤電車「E235系」が2015年秋から、山手線にお目見えする。

   新型車両は安全性を高めたほか、高齢者やからだの不自由な人、外国人観光客らに配慮した優先席や、車いすやベビーカー、大きな荷物を置けるスペースを大幅に増やした「次世代の通勤電車」という。

高齢化や東京五輪に伴う観光客の増加などに対応

JR山手線の新型車両導入で、中刷り広告が消える!(提供、JR東日本)
JR山手線の新型車両導入で、中吊り広告が消える!(提供、JR東日本)

   JR東日本は、新型の通勤電車「E235系」を量産すると、2014年7月2日に発表した。15年3月の完成、同年秋頃から山手線での営業運転を開始する。山手線としては、2002年に運行がはじまった、現在の「E231系」に続く新型車両で、首都圏の別の路線にも順次導入を予定している。

   デザインコンセプトは「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」。車体前面の大きな窓や表示装置で「人と人、人と社会を繋ぐ情報の窓」を表現し、さらに「居住空間を広く感じていただけるオープンなデザイン」にするという。

   高齢化や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに伴う観光客の増加などに対応。座席は腰掛幅を一人あたり1センチ拡大して46センチにするとともに、優先席は1両あたり3席増やして視認性を向上する。また、すべての車両に1か所ずつ、車いすやベビーカーの利用者や、大きな荷物を持った乗客のためのフリースペースを設ける。

   さらに、安全性の向上のため、乗降口の扉は荷物が挟まれても引き抜きやすいように改良したほか、レールや架線に異常がないかを監視するシステムを新たに搭載した。

   そんな新型車両の登場で、姿を消すのが車内にぶら下がっている「中吊り広告」。新型車両は、電車の運行情報や企業の広告などを表示するメディアの液晶画面(デジタルサイネージ)化を図り、ディスプレイの数を増やす。

   1両あたり13~20か所に約20インチの液晶画面を設置し、動画のコマーシャルやニュースを流すという。

   通勤電車に揺られながら、ヒラヒラしている中吊り広告をつい見ているという人は少なくないだろう。中吊り広告は車内中央の上部に掲出されるので、どこからでも目に入るのが強み。掲出期間は2~3日だが、即効性が高く、新商品やキャンペーン、雑誌の発売などに最適で、電車やバスなどの車内広告の中でも最も注目されるメディアとされる。

   中吊り広告が登場して半世紀ほど。乗客によっては中吊り広告から習慣的に情報を得るため、話題づくりにも有効、かつ購入行動につながりやすい特徴もある。

のれんや絵馬、凝った中吊り広告増えて健闘しているが…

   とはいえ、中吊り広告は減りつつある。

   ここ数年は、布製ののれんを用いたり、絵馬を装ったりと立体化して、乗客をあっと驚かせるような、凝った中吊り広告が増えているが、「大きな流れとしては、デジタルサイネージが中吊り広告に取って代わっています」と、「交通広告ドットコム」を運営するムサシノ広告社は話す。

   電通の「2013年 日本の広告費」でも、13年の交通広告(空港・タクシーを含む)は前年比1.5%増の2004億円。4年ぶりに2000億円台に回復したものの、増えているのは新設や増設が続いているデジタルサイネージで、なかでも車内ビジョンの稼働率は高いという。

   デジタルサイネージの場合、スペースが決まっている中吊り広告と異なり、1か所に多くのクライアントが入ることが可能で「媒体料金もかなり安い」。車内であれば、交通情報とともに自然と目に入りやすいというメリットもある。

   インターネットには、

「モニターばかりで、疲れちゃう」
「あれ(中吊り広告)はあれで情緒があっていいんだが…」
「文字や映像だと、流れちゃって見逃したらおしまいじゃん」

などと、中吊り広告を惜しむ声が寄せられている。

   山手線の新型車両から中吊り広告が消えることについて、前出のムサシノ広告社は「媒体料金など詳細についてはまだ不明な点が多く、わからないのが実情です。クライアントにも説明できていません。すぐにすべてが入れ替わるわけではないでしょうが、山手線となるとインパクトはあります。これまでは中吊りとデジタルサイネージと、うまく棲み分けできていたのですが…」と話している。

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