2024年 4月 27日 (土)

「『霊言』科学的でなく学問でない」と不認可答申 幸福の科学大学側「必修でない」と反論

   幸福の科学大学について、国の審議会が不認可と答申し、「『霊言』を元にした必修科目は、科学的とは言えず学問でない」とその理由を説明している。大学側は、「霊言を元にした必修科目は設定していない」と反論している。

   2015年4月に開校する予定だった幸福の科学大学は、すでに千葉県長生村で校舎などが完成に近づいている。ところが、半年を切った段階で、開校できない見通しという異例の事態に陥った。

審議会は「霊言を元にした必修科目」と指摘

   文科省の審議会が2014年10月29日に不認可答申し、大学設置室によると、下村博文文科相が31日に設置を認めない決定を出す見込みになった。

   審議会では、その理由について、文科省ホームページ上で説明しており、その内容がネット上で話題を集めている。

   説明によると、大学では、3学部共通の必修科目「創立者の精神を学ぶ」などが挙げられているが、それは宗教団体「幸福の科学」創始者の大川隆法さんの著作が深く関わっていた。著作では、死んだ人は、脳の機能が停止したとされるが、体が焼かれても個性があって考える力もあると主張する。そして、それは「霊言」を生むとしており、科学的に証明されていると主張している。

   しかし、審議会では、霊言は、科学的根拠がなく、学問の要件を満たしていないと指摘した。大学設置室によると、審議会が審査中の5月と8月に幸福の科学大学側に是正意見を出していたが、答申前までに改善されなかった。

   さらに、審議会の説明資料などによると、大川さんの著作が委員に送り付けられたうえ、下村文科相の守護霊本を出して、認可を強要するような不適切な行為があった。このことについて、「制度の根幹を揺るがすおそれのある問題」だとしており、文科省では、大学側と話し合ったうえ、12月にも最長で5年は設置を認めない決定をする予定だとしている。

幸福の科学は「信教の自由に対する介入」と主張

   この答申内容について、幸福の科学大学側は、「詳細を確認した上で、今後の対応を検討いたします」とサイト上で発表した。一方、幸福の科学出版のサイト「ザ・リバティWeb」では、記事の中で答申に反論した。

   記事では、審議会の説明に従うと、神を前提としている神学や科学的証明がない哲学も教えられないことになり、文科系学問の否定になると主張した。現代のガリレオを異端審問にかけるようなものであり、「霊言」は私学の特色であり科目のごく一部に過ぎないなどと書いている。

   これに対し、ネット上では、記事内容に疑問を呈する向きも多かった。「霊言学は、近代神学や哲学のように、霊言の実在自体に懐疑を持って批判する余地はあったんですか?」「カントやヘーゲルと比較しているが、こういうものは科学的証明をしているなどと主張しないだろうから同列には扱えないだろう」といった声だ。もっとも、信者とみられる人たちからは、記事などの主張に賛同の声も上がっている。

   幸福の科学グループ広報局では、審議会の説明に対し、「今回の大学設置認可申請においては、霊言を元にした必修科目は設定しておりません」と反論した。その一方で、「そもそも、宗教は霊言(啓示)から始まっており、答申どおりなら、日本の宗教系大学はキリスト教系を含め成立しません。信教の自由に対する介入であり、信仰者の学問の自由に対する侵害であると考えます」と主張した。

   審査プロセスを無視したとされたことについては、「委員各位が審査に必須の資料を読んでいないと判断されたので、参考資料としてお届けしただけで、不適切な行為など全くありません」と説明した。今後については、「現時点では、『5年後云々』ということは文部科学省より伝えられておりません。施設の活用については、現在検討中です」とコメントしている。

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