震度7が2回でも「大震災級ではない」 菅長官の認識は当然?おかしい?

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   熊本県で相次いで起こった地震は、同じ場所で震度7の地震が2回起こっていたことが明らかになった。これは観測史上初めての出来事だが、政府は現時点では熊本地震を「激甚災害」に指定しておらず、「大震災」にもあたらないとの立場だ。

   野党からは、「どう考えてもこれは激甚災害として指定すべき事例」といった対応の遅さを指摘する声も出始めているが、政府は慎重姿勢を崩していない。

  • 野党からは早期の「激甚災害」指定を求める声が相次いでいる(写真は国土地理院がドローンで撮影)
    野党からは早期の「激甚災害」指定を求める声が相次いでいる(写真は国土地理院がドローンで撮影)

震度計に残っていた観測データを現地調査で解析

   2016年4月14日夜に起きたマグニチュードM6.5の地震では、益城町で震度7を観測。4月16日未明に起きたM7.3の「本震」では、益城町の震度計からはデータが送られて来なかった。4月20日の気象庁の発表によると、震度計に残っていた本震の観測データを現地調査で解析したところ、益城町と西原村で最大震度7を観測していたことが明らかになった。震度7が観測されるのは、1995年の阪神大震災以降では新潟県中越地震、東日本大震災、4月14日の「前震」に続いて4例目で、同じ場所で震度7が2回観測されたのは観測史上初めてだ。

   政府は17年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを再延期する条件のひとつとして、「リーマンショックや(東日本大震災級の)大震災」を挙げている。地震で税率引き上げが困難になったとの見方が広がる中、菅義偉官房長官は4月20日午前の会見で、熊本地震が「大震災」にあたるとの見方を否定した。具体的には、記者が

「だいぶ地震についての全容が見えてきた今、今回の地震については東日本大震災のようなものには当たらないというお考えでしょうか」

と質問したのに対して、菅氏は

「経済の好循環を力強く回していく、ここに政府として全力を取り組んでいるわけでありますから、そうした状況ではないというふうに判断しています」

と答えた。

指定されると道路復旧で国からの補助率が上がる

   4月21日現在、「激甚災害」にも指定されていない。災害が「激甚災害」に指定されると、自治体が道路や農地を復旧する際、国からの補助率が上がる。当然、指定は復旧・復興への後押しになる。

   熊本県の蒲島郁夫知事は「本震」発生前の4月15日の段階で、安倍首相に対してテレビ会議で

「激甚災害の早期指定など全面的な支援をお願いしたい」

と求めている。国会審議でもこの件は問題になった。

   4月18日の衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会では、緒方林太郎・衆院議員が

「我々が見る限り、どう考えてもこれは激甚災害として指定すべき事例なのではないか」

などとして激甚災害に指定されていないことを疑問視。河野太郎・防災担当相は

「激甚災害指定は、復旧に要する費用が一定の標準税収入の割合を超えた場合に指定されるようになるので、特に遅れているとは思っていない。今、関係の自治体にはなるべく早く復旧の見通しの査定を出していただくようにお願いしているところ」

などと反論した。

数日で指定できたとしても「実際の災害支援には何の関わりもないこと」

   安倍晋三首相は早期指定を目指す考えを表明したが、その内容は「突き放している」ともとれるものだ。

「一定の水準に達するという法律的な要件がある。そのなかで我々はしっかりと作業を進めて、この状況でございますから、激甚災害指定の方向に向けて決定をしていきたい、こう考えているが、この決定が例えば、今日、明日、明後日ということになったとしても、これは実際の災害支援には何の関わりもないこと」
「事務的に数字を積み上げていかなければ法律的にできない。それを今、一生懸命やっている」

   2011年3月11日に発生した東日本大震災は、翌3月12日には激甚災害指定が閣議決定された。当時の内閣府の発表資料では、その背景を「地震による被害が、激甚災害指定基準を明らかに超えるものと見込まれた」と説明している。

   一方、ここ1年ほどで激甚災害に指定された事例を見ると、14年8月24~26日に台風15号が原因で起きた被害は9月25日に、9月7日~11日に起きた台風18号が原因の被害については、10月6日にそれぞれ閣議決定されている。

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