2024年 4月 27日 (土)

トランプ相場で円安111円台 まだ続く?見方は真っ二つ

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   米大統領選で共和党のドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めてから、世界のマネーの流れが一変している。同氏が大規模な財政出動に踏み切るとの思惑から、米国をはじめ主要国で金利が上昇し、外国為替市場ではドル高が加速、日米の株式市場では買いが進み、「トランプ相場」の様相を見せる。2016年11月21日の東京市場では、半年ぶりの1ドル=111円台をつけた。この流れは一時的なのか、持続するのか、市場の見方も割れているようだ。

   米メディアの多くが「クリントン大統領」を予想していただけに、2016年6月の英国民投票での欧州連合(EU)離脱可決(ブレグジット)に続く「トランプ・ショック」が市場を襲い、東京市場では11月9日に円相場は朝方の1ドル=105円台から一時、101円台に円高が一気に進み、日経平均株価は前日比で一時、1000円以上下げ、終値は1万6251円になった。

  • 「トランプ相場」動向に注目が集まる
    「トランプ相場」動向に注目が集まる
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根底にはトランプ氏の拡張的な財政政策

   「トランプ氏当選なら1ドル=100円突破の円高も」といった声もあっただけに、ここまでは、いわば予想の範囲で、ここからさらに下げるのか、持ち直すか、注目された。

   ところが日本時間その日夜、ニューヨーク市場ではムードが一変し、為替は反転。18日までほぼ一本調子でドル高・円安が進み、1ドル=111円台目前という5か月半ぶりの円安水準に。株価も、18日の日経平均が一時、約10か月ぶりに1万8000円台を回復(終値は1万7967円)、米ダウ工業株30種平均も連日最高値を更新し、14~18日の週も1万8900ドルをはさむ高値圏で推移した。

   なにがこの「トランプ相場」を生んだのか。根底にあるのがトランプ氏の掲げる拡張的な財政政策だ。大幅減税とインフラ整備により財政支出が拡大するとの「インフレ予測」から米国の長期金利が上昇し、日米の金利差拡大の思惑からドルを買って円を売る動きに火が付いた。

   トランプ氏の経済政策への不安を期待に転じた直接の材料の一つは、トランプ氏の勝利演説が穏当な言い回しで、過激な発言を封印し、大方の懸念をひとまず抑えたこと。もう一つ、米上下両院で共和党が過半数を確保したことから、トランプ氏の景気刺激政策が推進されるとの見方が広がった。

   こうした市場の流れは、日米だけでなく世界的にも同じ。マイナス金利政策をとる日本と欧州でも金利は上昇。日本の長期金利の指標である10年物の国債の利回りは、2月以降、概ねマイナス圏で推移していたのが、米大統領選後はプラスに浮上し、11月16日には一時0.035%と9か月ぶりの高水準となった。ドイツ国債も、マイナス金利は期限が短いものに限られてきている。

米の利上げ観測が一段と強まる

   米国との金利差拡大でユーロも、円ほどではないが、ドルに対し値下がり。さらに深刻な影響を受けているのが新興国通貨で、米金利上昇により、新興国の株や債券に投じられてきたマネーが米国へ還流する流れになった。中国・人民元が2008年12月以来の元安水準を記録。当局の規制がある中国は、それでもまだましで、メキシコ・ペソ、南アフリカ・ランド、トルコ・リラ、ブラジル・レアル、マレーシア・リンギなどは米大統領選後に6~10%程度下落するなど、通貨安が加速している。これらの国では、全般的に景気がパッとしない中で、通貨防衛のため利上げを迫られる恐れがある。

    トランプ新政権の政策とも絡んで注目される米連邦準備理事会(FRB)は、12月利上げ観測が一段と強まっている。イエレンFRB議長は11月17日の議会証言で実施を示唆。トランプ氏の経済政策で財政支出が増えるとして、将来のインフレ予測も強まりつつあり、2017年以降の利上げペースが早まるとの声も出始めている。

   ただ、過熱する「トランプ相場」は、期待先行と言え、市場も行方は見極めかねている。財政拡大を材料に、米長期金利の上昇は「来年末まで続く」(外資系証券)、「足元で一服感も見られ、さらに上昇していくよりは現状の水準で落ち着きどころを探る」(大手証券)など見方は分かれる。

   新興国からのマネーの逆流は、「やがて先進国の景気に跳ね返ってくる」(大手銀行)との警戒が世界に広がる可能性もあり、米国第一を掲げるトランプ政権が、こうした懸念にどうこたえるか。当面、財務長官をはじめとする経済閣僚の人選に世界の注目が集まる。

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