「コーヒー浣腸」素人療法は危険 腸を傷つけ細菌感染の恐れ

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   コーヒーをぬるま湯と混ぜ、器具を使って腸内に注入する「コーヒー浣腸」。腸内を洗浄する「健康法」として話題になったこともあったが、これを巡って厚生労働省の許可を得ないまま洗浄用の液体などを販売した事業者が逮捕された。

   専門医は、そもそもこうした器具を個人が購入して医師の指導もなく直接腸に入れること自体が危険だと警鐘を鳴らす。

  • 医療従事者の指導なしでは危険
    医療従事者の指導なしでは危険

「とても簡単」「長い歴史がある」と推奨するサイトも

   今回コーヒー浣腸で問題となったのは、業者が「体の中からデトックスして肌改善」などと根拠のない美容効果をうたって、腸内に注入する缶コーヒー状の液体や腸内洗浄キットを販売した点だ。厚労省の承認を受けておらず、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反容疑となった。

   コーヒー浣腸は別名「コーヒーエネマ」。インターネット検索をすると、「私が実際にやってみました」という体験談や、方法を解説するイラストなどが多数表示される。「やり方はとても簡単」「長い歴史がある」「便秘解消につながる」と、推奨するサイトも少なくない。

   2015年12月3日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、実際に業者が販売していたキットを用いて使い方を示した。缶に入っていた液体は「コーヒーそのもの」に見え、これをぬるま湯1リットルで薄めて専用のビニール状の容器に入れる。本来であれば、容器から伸びるノズルの先を肛門に入れて液体を腸に注入する。番組では、ノズルからたらいに液体を注いだ。数十秒程度で、1リットルほどの液体は出尽くした。

   同日に放送された「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)には、8年前に実際に問題のキットを使ったという女性が登場、証言した。ネット上で「肌がきれいになる」との口コミから購入したと話す。使用したところ「腸に水を入れたら、お通じはよくなる」とのことだった。特に体調不良につながったわけではないが、1度使ってやめてしまったようだ。肌がきれいになったかどうかは、不明だった。

直腸に傷をつける可能性がかなり高い

   一方で、健康被害を訴える声もあったという。「とくダネ!」では、40代女性が「1年半ほど使用、自力排便ができなくなった。医師の診察を受けたら『腸がむくんで機能していない』と言われた」、さらに30代女性は「下痢が1か月続いた」という事例を紹介していた。

   広義の腸内洗浄は、米国の女優やセレブタレントが愛好しているという。「コロンハイドロセラピー」と呼ばれ、肛門から水を入れて腸内にたまった毒素や便を洗い流す。米国では、施術は医師や看護師、コロンハイドロセラピストの資格を持つ人が行い、本人だけで済ませることはない。器具や装置も、政府が認可したもののみを使用するという。

   日本国内にも、腸内洗浄を行うクリニックや医療機関はあるが、病気の治療ではないとして保険の対象外の「自由診療」となる。

   ところがコーヒー浣腸を勧めているサイトを見ると、「お手軽キットを使って自宅でできちゃう」と医師の指導なしに自力で施術できる点をセールスポイントとして挙げているところが多い。専門家から見ると、これが問題だ。先述の「モーニングショー」に登場した東肛門科胃腸科クリニック・東光邦院長は、そのまま器具を使用すると「直腸に傷をつける可能性がかなり高い」と指摘した。そうなれば細菌が入り込んで感染症を引き起こし、場合によっては命にかかわるというのだ。

   医療従事者の指導がないまま、素人判断で腸に器具を挿入するような行為は避けた方がよい。

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