NITEバイオテクノロジーセンターから麹菌遺伝子破壊株ライブラリの提供を開始
記事配信日:
2026/07/28 10:00 提供元:共同通信PRワイヤー

独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]と公益財団法人野田産業科学研究所[代表理事(理事長):茂木 友三郎]、国立大学法人東北大学大学院農学研究科[農学研究科長:仲川 清隆]は、麹菌(Aspergillus oryzae)の遺伝子破壊株ライブラリ(以下、「本ライブラリ」)の一般提供をNITEから行うことで合意しました。
麹菌は発酵食品製造だけでなく、アミラーゼなどの酵素を高効率に産生できることから、工業用途にも用いられており、日本のバイオ産業を支えてきました。本ライブラリを用いることにより、新たな遺伝子機能の解明や、新規の知見に基づいた有用物質産生能の向上などの応用展開が迅速に進むと考えられます。
本ライブラリを世界最大級の生物資源機関であるNITEバイオテクノロジーセンター(NBRC)から広く一般に提供することで、麹菌をはじめとする糸状菌を用いたバイオものづくりの発展が促進されると期待されます。
1. 背景
国菌に認定されている麹菌は日本の発酵産業の発展に寄与してきました。また、NITEも協力した全ゲノム解析が2005年に完了しており基礎的な研究対象としても重用されています。さらに、高いタンパク質分泌能からアミラーゼなどの酵素生産に用いられるほか、抗生物質などの生理活性物質の生産にも利用されています。こうした生物を活用して有用物質を生産させる取組はバイオものづくりと呼ばれていますが、麹菌は生産性向上など機能改善につながる遺伝子の特定に時間がかかることが課題でした。
2. 麹菌遺伝子破壊株ライブラリの特徴について
本ライブラリは、転写制御関連因子、プロテインキナーゼ(以下、「PK」)、プロテインホスファターゼ(以下、「PP」)、ユビキチンリガーゼ(以下、「UL」)の各遺伝子(以下、「制御系遺伝子」)を破壊した麹菌で構成されており、野田産業科学研究所と東北大学大学院農学研究科発酵微生物学寄附講座によって作製されました。
制御系遺伝子は、細胞の中で「どの遺伝子を、いつ、どこで、どの程度働かせるか」をコントロールする司令塔の役割をもつ遺伝子であり、制御系遺伝子を破壊すると、その制御下にある複数の遺伝子に影響が及びます。このため制御系遺伝子の破壊株を用いることで、通常の変異株解析と比べて、表現型に影響を及ぼす遺伝子群を効率的に絞り込むことができます。
これまで、一般的なUV照射などの突然変異解析では、目的の表現型を示す株が得られても、ゲノム全体で多数の遺伝子変異が生じているため、目的遺伝子の特定には多大な労力と時間を要していました。それに対し、制御系遺伝子の破壊株を用いた場合、特定の制御系に属する少数の遺伝子群のみが影響を受けているため、目的遺伝子を絞り込むことが容易になります。このように本ライブラリを用いることで、目的の表現型に寄与する遺伝子群の迅速な特定が可能となり、バイオものづくりに適した麹菌の育種に大きく寄与することが期待されます。
NBRCは、制御系遺伝子の作用で分類した「転写制御関連因子」及び「PK、PP及びUL」遺伝子破壊株ライブラリの2種類を提供します。なお、「PK、PP及びUL」遺伝子破壊株ライブラリは、今回新たに構築されたものです。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202607162645-O1-NRugQclY】
3. 本ライブラリの入手方法
以下のURLから入手可能です。
https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/disruptant_library/index.html
なお、本ライブラリの株はいずれも遺伝子組換え体として取扱う必要があります。
○関連ページ
・公益財団法人野田産業科学研究所
https://www.nisr.or.jp/topics/disruptant_library/
・国立大学法人東北大学
https://www.agri.tohoku.ac.jp/jp/news/20260728_01/
○参考文献
五味 勝也. (2022). 醸造微生物の分子生物工学研究と発酵生産分野への応用技術開発. 生物工学会誌, 100(1), 5-18.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seibutsukogaku/100/1/100_100.1_5/_pdf
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