2024年 5月 1日 (水)

鉄鋼の好調はどこまで続くのか

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  新日本製鉄JFEホールディングス住友金属工業神戸製鋼所の高炉4社が8 月末から9月初めにかけて発表した今2004年度の業績修正によると、4社合計の連結経常利益は9100億円となる見通しだ。この数字はバブル時代の1989年度に記録した5776億円を大きく上回るもので、鉄の復権との見方さえ出ているが、この好調さは今後も続くのかどうか。

  高炉各社の業績が急回復してきた要因は、中国市場の成長だ。1990年代後半から2000年代初めにかけて鉄鉱石の大手サプライヤーの間では国際的な再編が進み、3社による寡占体制が固まったうえ、コークスの原料となる原料炭でも寡占化が進行した。また、自動車でも1990年代後半、ダイムラークライスラー仏ルノーと日産自動車の資本提携など再編が進行。川上と川下に挟まれた高炉メーカーの価格交渉力が低下してきたなかで、2000年にはいわゆる「ゴーンショック」が発生、その後、高炉各社の業績は軒並み悪化した。

中国市場については、変調の兆し

  ところが、2002年9月には川崎製鉄とNKKが統合しJFEホールディングスが誕生。残る3社も2002年末、相互出資を行って新日本製鉄グループを形成した。高炉5社体制から2大グループ体制に移行、価格交渉力が相対的に上昇。2003年度の高炉メーカーと自動車メーカーとの価格交渉では、需給の逼迫と再編の効果によって5年ぶりに値上げを実現。鉄鉱石、原料炭の価格が大幅に上昇した2004年度では自動車用鋼板で異例とも言える春と秋の年2回の値上げを実現することができた。
  一方、中国市場については、変調の兆しが出てきていることも確かだ。中国の内需(見掛消費量、粗鋼生産+輸入ー輸出)は、2002年から急増、1億8560万トンを記録したのに続いて、2003年2億3240万トンと拡大。2004年も当初は年2億5000万~2億6000万トンのペースで推移していたが、4~5月にかけて金融引き締め策の影響で建設用鋼材のスポット価格が下落したうえ、7~8月には中国による鉄鋼輸入が急減した。

突発的な出来事がないかぎり、好調さは続く

  建設用鋼材の場合、棒鋼などは中国の自給率は100%を超えており、今後、輸出市場での価格低下が懸念され始めている。ただ、高炉メーカーにとってはほとんど影響が出ないとの見方が支配的だ。日本から中国への輸出量は692万トンと全輸出量の18%(2003年)を占める。しかも自動車、電気向けなど中国では調達できない薄板関係が輸出の大半を占めている。「中国での建設投資はいずれスローダウンする。自動車生産も今は踊り場を迎えているが、所得の上昇で自動車購入層は増加していく。輸送料の増加で造船向けも好調な伸びが続く」(新日本製鉄・藤原信義常務)見通しで、当面、現在の需給逼迫状態が崩れる可能性は少ない。突発的な出来事がないかぎり、高炉メーカーの好調が続く可能性が高いだろう。

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