テーオーシーへのTOBもMBOも失敗した理由
2007.08.01 11:23
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「経営陣に都合のいい買い付け価格」という不満
MBOは株式を非公開にすることで、経営陣が経営の自由度を高められるという効果をもつ。M&A(企業の合併・買収)の拡大に伴い、国内でも90年代から企業防衛のためにMBOが活用されるようになった。最近では外食大手の「すかいらーく」や、焼き肉チェーン「牛角」を展開するレックス・ホールディングスなどの例がある。
だが、買い手が経営陣と同一であるため、経営陣が価格を操作できる可能性もあり、買い付け価格が争点になることも多い。
TOCの経営陣も、MBOで株式を買い占めて非公開とすることにより買収から防衛を図るという側面があったようだ。しかし、ダヴィンチの反発に象徴されるように、「経営陣に都合のいい買い付け価格ではないか」との株主の不満や疑念も少なくなかったとされる。
MBO不成立は経営陣によるMBOの姿勢に対する市場からの警告でもあり、経営陣は株主の利益向上に敏感に対応する必要性を示している。
一方、ダヴィンチのTOBも成立しなかったことも重い意味を持つ。TOBの買い付け価格が実際の株価を上回っていながら、応募しない株主が多数を占めた。この事実は、ダヴィンチも株主に十分な説明責任を果たしていなかったという、企業の根本姿勢が問われたことを示すものといえる。