2024年 5月 2日 (木)

高騰する中古マンションの条件 「都心」「築浅」「タワー」「ファミリー」

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   東京・都心部の中古マンション市場がにぎわっている。山手線内を中心に、豊洲エリアや目黒区・世田谷区などで建築年数の浅いタワーマンションやファミリータイプのマンションの価格が高騰している。「売り手」が超強気で、「購入時より2000万円ほど上乗せして売却しています」(不動産経済研究所)。不動産市況が冷え込みつつある中で、なにが売り手を強気にさせているのか。

7000万円のマンションが「億ション」に

中古マンションの価格が急騰している(写真はイメージ)
中古マンションの価格が急騰している(写真はイメージ)

   いま価格が高騰している中古マンションは、東京都心部にあって建築年数が浅いタワーマンションやファミリータイプのマンション。「2年ほど前の新築分譲マンションが竣工直後に売りに出る、青田売りといわれる物件です。バブル時のワンルームなどの投資用マンションとはまったく違います」と、不動産経済研究所は説明する。

   物件としては中古というより、「新古」のマンションが値上がり。2、3年前に4000万~5000万円で購入した物件が7000万円台で、7000万~8000万円で購入した物件は「億ション」となって転売されるという。

   「売り手」が超強気の価格設定を続けている背景には、新築分譲価格の上昇がある。不動産経済研究所が2008年1月21日に発表した「2007年の首都圏マンション市場動向」よると、07年は首都圏で6万1021戸の分譲マンションが販売されたが、改正建築基準法による建築確認の長期化などの影響によって、前年比で1万3442戸減少した。

   しかし、1戸あたりの販売価格は5年連続で上昇し、東京都区部の平均価格は6120万円。06年と比べて1000万円近くも上昇した。1平方メートルあたりの単価は85万6000円で、首都圏のマンション価格は全体的に上昇傾向にあるが、都区部の上昇率は19.7%と東京都下の8.9%や神奈川県の9.8%、埼玉県9.3%、千葉県9.0%を大きく上回っている。

   しかも新築物件が減少するなかで、「億ション」は1344戸と06年と比べて430戸増えていて、なかには即完売のマンションもあった。こうした現状に、「都区部は供給を手控えるほど。あとから売りに出しても高値で売れますから、売り急ぐ必要がないわけです」(同研究所調査部)とし、新築物件の価格上昇が中古マンションの価格をも押し上げていることが「売り手」を強気にしているとみている。

築10~30年物件の動向は厳しい

   中古の「億ション」を、いったいどんな人が買うのかといえば、医者に弁護士、外資系企業の社員だという。新築物件と同様に、メインターゲットは団塊世代の富裕者層だが、外資系企業に勤める人の中には20~30歳代も少なくないそうだ。

   とはいえ、中古マンション市場がにぎわっているのは、「都心部」「築浅」「タワー」「ファミリー」の物件に限る。東京郊外では物件価格は上昇傾向にあるが、売れ行きは苦戦している。

   さらには、同じ中古マンションでも築10~30年にもなる物件の動向は厳しい。「売れない」以前に、建て替えの時期を迎えているのに建て替えられない事情がある。こうしたマンションの住人の多くは30~40歳代に購入し、建て替え時期には60歳以上の高齢者となるので、建て替え費用の負担が重くなったり、転居費用が工面できなかったりする。築年数が経っているため、「転貸し」するケースもあり、そのため住民の5分の4の合意が得られず建て替えできない。老朽化は進み、その半面でお金がある人はどんどん転居してしまう。

   中古の「億ション」を購入する人の中には、目黒区や世田谷区、杉並区あたりの、建築年数の経ったマンション住まいの団塊世代が少なくないらしい。

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