2024年 5月 1日 (水)

不況下でのインフレの進行 株価はどこまで下がるのか

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

「もはや財政出動しかない」?

   嶌峰氏は「米国経済の悪化は、他国の輸出を通じて世界経済の悪化に繋がるので、10年前の日本とは比較できないほどの影響をもつ。しかし、それ以上に資源高の影響は大きく、つまり、たとえサブプライム問題がなかったとしても、資源高によって世界経済は悪化の傾向をたどってきた」という。少なくとも、10年前の日本の金融危機ではこうした複合的な要因はなかった。

   たしかに中国やアジアの国々では、原油高や資源価格の上昇を背景にして起こったインフレが加速することでの景気悪化と、利上げによる金融の引き締めが原因で、株価が下落する傾向にある。

   日本でも株価はさえず、景気後退が鮮明になる一方で物価が上昇。いよいよスダグフレーションが現実味を帯びてきた。日本銀行の白川方明総裁は、去る5月27日の参院財政金融委員会で「日本がスダグフレーションに陥るおそれがある」との認識を示したものの、7月15日の金融政策決定会合後の記者会見では「その局面ではない」ときっぱり否定した。

   しかし、嶌峰氏は「インフレ率は低いものの、スダグフレーションとみていい」と言い切る。

   スダグフレーションとは、景気が停滞している状況下で物価の上昇(インフレ)が起こる現象をいう。原油価格の高騰で起こった1970年代のオイルショックがそれにあたり、当時は多くの先進国がスダグフレーションに見舞われた。ちなみに1974年当時の蔵相は福田赳夫、いまの福田康夫首相の父で、ガソリン税などの暫定税率を盛り込んだ租税特別措置法で乗り切ろうとした。

   企業の財務体質は健全なのに設備投資への意欲が薄く、長期金利は上がらない。さらに株式市場が低迷する状態では、金融政策も手の打ちようがない。野村総合研究所チーフエコノミストのリチャード・クー氏は、「もはや財政出動しかない」と指摘する。

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