2024年 5月 7日 (火)

金融政策決定会合の議事録初公開 政府と日銀の激論生々しく

「現状維持では日銀は何を考えているのか」

   しかし、経済対策の発表後も市場での「日本売り」は止まらず、円安・ドル高が進行した。6月12日の会合で中原伸之審議委員(元東燃社長)は「これで(金融政策の)現状維持では日銀は何を考えているのか(と受け止められる)」と利下げを主張し、三木利夫審議委員(元新日鉄副社長)も「経済は二番底の懸念がある」と指摘した。だが、会合は賛成多数で現状維持を決めた。

   その後、6月上旬には日本長期信用銀行(現新生銀行)の経営不安が広がった。6月25日の会合で、日銀の速水優総裁は「特定の銀行から資金の引き出しが起こり、ここしばらく安定していた株価は急落し、かなり危機的な状況になってきている」と発言。名指しを避けながらも、長銀の経営破たんに強い懸念を示していたことが明らかになった。長銀が一時国有化されたのは98年10月だ。

   この会合では山口副総裁が「(景気は)予想を超えて、下の方に振れつつある」と当初の見通しの甘さを認めた。だが、速水総裁は「(利下げで)円安方向に金融政策のアクセルを踏む時期ではない」と主張。結局、9月に無担保コール翌日物金利の誘導目標を引き下げるまで金融政策は据え置かれた。

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