2018年 7月 23日 (月)

男の方が失業率高い時代 「あまり給料にこだわるな」

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   景気低迷で肉体労働などの求人が減り、女性より男性の失業率の方が高くなってきている。福祉分野などの成長で、「女性優位」とも報じられている。しかし、識者はむしろ、男性が「高給」にこだわり過ぎていることを指摘する。

   男女の失業率格差は、最近拡大しており、2010年3月には、1.3ポイント差までになった。これは、08年9月のリーマン・ショック後から顕著になり始めた傾向だ。

男性多い業界は失速、女性多い業界は成長

米紙大手も日本の失業率格差を報じる
米紙大手も日本の失業率格差を報じる

   総務省の労働力人口統計室では、その理由について、こう分析する。

「特に、建設業、製造業に影響が大きく、男性の就業者数が減って失業が発生しました。逆に、女性が多い福祉・医療などの成長分野は、就業者数が増加する傾向にあるわけです」

   統計によると、主婦が女性の中で圧倒的に多かった時代は、男性の方が失業率は高かった。そして、男女雇用機会均等法の成立前年の84年からは、女性の社会進出が進んだが、バブル期までの好景気で、男性の失業が大きく減少。結果として、女性の失業率の方が高くなった。

   ところが、バブル後の長引く不況で中高年男性のリストラが進み、98年からは男性の方が高い傾向に。その後、やや持ち直したが、リーマン・ショックで09年の男女差は、0.5ポイントにまで急上昇した。それが10年に入っても、前述のような理由で拡大し続けているわけだ。

   こうした状況について、米経済紙大手のウォール・ストリート・ジャーナルの日本版は7月1日、「日本の新たな格差は『女性優位』」と報じた。その中で、前述の理由と同様な識者らの見方を紹介し、「日本の社会構造が女性労働者にとって有利な方向にシフトした可能性」があるとした。国家公務員Ⅰ種の女性採用比率を上げるなどの政府方針も、こうした結果をもたらしたとしている。

「『女性優位』とは、必ずしも言えない」

   肉体労働の機会は減ってきており、頭脳労働も一部に限られている。しかし、女性が多いサービス業や福祉分野は、派遣・パートの比率も高く、給与が比較的低いところが多い。

   男性受難の時代とも言えるが、今後は、どうなっていくのか。

   大阪大学の大竹文雄教授(労働経済学)は、男性も意識を変える必要性を指摘する。

「求人で、男性が女性に比べて相対的に有利な傾向は、弱くなってきています。ですから、これまでと同じ給料を目指すと失業することになります。サービス、介護、医療などで女性と同じ仕事をすれば、失業しなくても済みます。今後は、こうした仕事が当たり前になっていくでしょう」

   女性の多い仕事では、お茶くみもできる女性の優先採用なども指摘されている。この点については、「今はそんなところはなくなってきていますし、そういう企業はつぶれていくでしょう」と企業側も変わる必要があるとする。

   また、女性も、男性に頼る価値観を止め、支え合っていく必要が出てくるとみる。「農業や中小企業では、共働きが普通です。主婦願望とのミスマッチはあるかもしれませんが、いつまでもそうであることはないでしょう」

   ただ、大竹教授は、「女性優位」とは、必ずしも言えないとする。

「男性は、たくさん働く機会があって、給料が高いのは事実です。女性より男性の方がまだ有利な状況は変わっていません。その差が少し縮まっただけで、非正規労働の比率が高いなど、まだ差があります。ですから、政府の格差是正措置をなくしていく状況だとは言えないわけです」
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