中学生や高校生がインターネット上にある詩やエッセイを盗用しコンクールに応募、盗用が発覚し受賞が取り消されるケースが多発している。そして今度は、高校生を対象に日本福祉大学が毎年開催しているエッセイコンテストの入賞作が盗作ではないか、と騒がれている。2004年に掲示板「2ちゃんねる」に掲載された「泣ける話」の一つにそっくりなのだ。
騒ぎになっているのは日本福祉大学と朝日新聞が主催した「第8回高校生福祉文化賞エッセイコンテスト」。03年から行われていて、2010年は応募が5,550通もあり、16人の受賞者を出した。
大学はコンテストに関するホームページを閉鎖
日本福祉大学が10年11月2日に「エッセイコンテスト」受賞者の作品を大学のホームページで公表したところ、その作品の一つが「コピペ(盗作) ではないか」と2010年12月2日頃からネットで騒ぎになった。大学は事実を確認中として、今回のコンテストに関するホームページを閉鎖している。
問題になっているのは、優秀賞を獲得した「空の絵」。九州の中高一貫教育校4年生男子の作品だ。内容は、小学校時代の担任の先生と、絵は上手いがその他は不得手な同級生に関する話しで、感動的な結末になっている。
酷似しているとされるのが「2ちゃんねる」に4年11月21日に書き込まれた「癒されたい名無しさん」と名乗る人の文章。
2つを読み比べてみると、書かれている内容はほぼ同じ。「ぼくを、普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました」 (2ちゃんの文章)、「僕を普通の子と一緒に勉強させてくれて、ありがとうございました。」(受賞作)という酷似する表現もある。
「受賞を辞退したいと伝えた」と校長
受賞作は盗作なのか日本福祉大学に聞いてみたところ、
「現在調査中であり何らかの形でホームページなどを通じて発表したい」
ということだった。そのため、同校のホームページに掲載していた今回のコンテストの作品や記述などは一時的に閲覧できないようにした。
騒ぎになっている生徒が通う学校に問い合わせたところ、同校の校長は、
「生徒から事情を聞いた中身は明かせないが、今回の受賞を辞退したいと大学側に伝えました」
と話した。
このところ中高生がコンクールなどに応募し入賞した作品が盗作だった、という事件が相次いでいる。10月には秋田市の中学3年生の女子生徒が「第19回詩と思想」の新人賞を取り消された。インターネットの掲示板「プロ詩投稿城」の中の作品をほぼ全文コピーしたという理由だ。この少女はこれまで24作品の入賞歴があるが、「詩と思想」新人賞以外でも3作品に盗作があったとして、受賞の辞退を申し出ている。
また、岩手県では9月、丘美術館が企画したプロポーズの言葉コンテストで最優秀受賞作「俺の人生半分やるから、お前の人生半分くれ」が、人気漫画「鋼の錬金術師」の盗用だったとして、応募した男子中学生の受賞が取り消しになった。