2024年 4月 30日 (火)

小宮山厚労相「おやじ狩り」宣言? 「たばこ増税」で早くも野田内閣不一致

   小宮山洋子・厚生労働相が「おやじ狩り」宣言か――野田佳彦首相が財務相時代に「おやじ狩りだ」と反発したたばこ税増税について、小宮山厚労相が前向きな姿勢を示した。

   財務省などの反発を受け、小宮山氏は多少トーンダウンしたものの、「旗」を完全に下ろしたわけではなく、閣内不一致の火種は残ったままだ。

「財務省VS厚労省」で綱引き?

どうなるたばこ増税。
どうなるたばこ増税。

   「最低でも700円ぐらいまで(段階的に)引き上げるべき」。小宮山厚労相は、2011年9月5日の会見でこう持論を展開した。1箱700円(現在は、例えばマイルドセブン410円)程度までなら、値上げにより利用者が減っても、税収は変わらない試算もあると指摘した上で、たばこ税増税について「(財源論ではなく)健康を守るため。財務省が所管するのはおかしい」と、「縄張り争い」にまで踏み込んだ。

   当然、黙っていられないのは財務省側だ。安住淳・財務相は同じ5日、「たばこ税は財務省の所管だ」と不快感を示した。さらに6日の会見でも「小宮山氏の個人的見解として承る」「たばこだけ抜き出して(増税を)議論することは、バランスに欠けている」と否定的な姿勢を強調した。

   藤村修・官房長官も6日、「(小宮山氏が)個人的な思いを述べられたと思う」と火消しに回っている。そもそも、たばこ税増税論は、野田首相が財務相だった7月中旬、討論会の中で、酒税増税論も含め、「おやじ狩りみたいなもので、こんなことやっていいのかという議論もある」と慎重姿勢を示していた。

   ちなみに、野田首相と藤村長官は愛煙家で、小宮山厚労相は超党派の「禁煙推進議員連盟」の元事務局長だ。

   安住財務相らの反発や「閣内不一致」の指摘を受け、小宮山厚労相は6日、「(たばこ税は)財務省の所管であり、政府税制調査会で議論する」と述べ、トーンダウンした。とりあえず財務省との正面衝突は避けた形だが、完全屈服するつもりもないようで、「個人的というより厚労省を代表して言った」と釘を刺した。安住財務相らの「個人的見解」批判に反論した形だ。

税制改正大綱「たばこ税率引き上げの必要あり」

   小宮山厚労相はまた、「健康をつかさどる省として、しっかり意見は言いたい」と、今後の展開によっては、たばこ増税やたばこ税所管問題について、議論を再燃させる含みを残した。

   確かに、小宮山厚労相が指摘するように、たばこ増税は単なる個人的な思いつきという訳ではない。2011年度の税制改正大綱に「国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります」と書かれている。

   また同大綱には、「たばこ事業法を改廃」し、「新たな枠組みの構築」を目指すとの記載もある。「新たな枠組み」とは、小宮山厚労相が言うような、たばこ税の財務省から厚労省への移管も含んだ議論を受けた表現なのだろうか。

   財務省主税局によると、「たばこ税移管の議論については、政府税調の議事録をみても出てこない。(小宮山厚労相の)個人的見解ではないか」とのことだった。とはいえ、大綱の文言は抽象的なだけに、小宮山厚労相が今後、たばこ税所管問題も再浮上させる可能性がある。

   たばこ税の増税・所管問題は、しばらく野田内閣不一致の火種としてくすぶり続けそうだ。

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