2024年 5月 1日 (水)

消費税どこまで上げる気なのか 政権首脳、続々「10%では足りない」

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   「消費税国会」がスタートしたが、消費税の10%への増税(2015年)をめざす野田政権内で、「(15年以降)さらなる増税が必要」との見解表明が相次いでいる。

   従来から「10%では足りない」論は民主党内で出ていたが、ここに来て岡田克也副総理、藤村修官房長官が「さらなる増税」必要論を展開し始め、「急加速」してきた観もある。どんな狙いがあるのだろうか。

藤村官房長官「今のレベルでは足りない」

どうなる消費税。
どうなる消費税。

   藤村官房長官は2012年1月23日の会見で、年金制度改革に関連して「将来に延長して計算すると、今の(消費税率)レベルでは足りない」と述べた。「2015年に10%」に増税した後も、さらなる税率引き上げが必要になるとの見通しを示したものだ。22日には、岡田副総理も同様の考えを明らかにしていた。

   政府は「2014年4月に8%、15年10月に10%」へ引き上げる方針を決め、関連法案提出に向け、野党に協議入りを求めている。しかし、消費税増税の是非以前に「民主党のマニフェスト違反」に反発する自民党の反対などで、与野党協議は「入り口」の段階でつまずいている。

   そんな中、公明党は、年金を含めた社会保障の改革全体像を示せば協議に応じる可能性を示唆し始めた。このことが、「さらなる増税」論の急加速と関係しているようだ。

   政府が「2015年に10%」を決めた「社会保障と税の一体改革」素案では、民主党が主張する「税金を財源とする最低保障年金」の導入は先送りし、計算に入れていない。この「先送り」をやめ、年金改革も含めた案を提示すれば、公明党が協議に応じてくれ、その影響から自民党なども応じざるを得なくなる、といったシナリオを期待しているというわけだ。

   「税金を財源とする最低保障年金」は、現行の基礎年金の「加入者からの保険料」をなくして税で負担しようというもので、当然、税負担は増える。これを計算に入れると「10%」では足りず、「さらなる増税は当然必要になる」(22日、岡田副総理)という理屈だ。

   もっとも、「公明党へのラブコール」としては刺激が強すぎたようで、「さらなる増税」論の急加速に対し、公明幹部が腹を立てているとの指摘もある。

野田首相「自民元首相演説を引用」作戦

   また、岡田副総理らは、年金改革に伴う文脈で「さらなる税率引き上げ」の必要性を指摘しているが、現行年金制度のままでも「将来の社会保障費増」にいずれ対応できなくなり、さらなる増税が必要になるとの政府試算もある。政府目標の「2020年度黒字化」のためには、「13~16%」への引き上げが必要との数字もある。

   一方、現時点での消費税増税決定へは反対論もある。民主党の小沢一郎元代表が繰り返し反対を表明しているほか、自民党の中川秀直元官房長官は1月23日のブログで、「デフレ下の消費税反対」を旗幟鮮明にし、消費増税への対案を示すべきだ、と自民党執行部に求める形で野田政権の姿勢を批判している。

   自民党は、2010年の参院選で「消費税10%への増税」をマニフェストに盛り込みずみだ。民主党への反対姿勢は、あくまで「消費税10%」そのものではなく、「マニフェスト違反」に対するもので、「分かりにくい対応だ」との指摘もある。

   野田佳彦首相は1月24日の施政方針演説で、「与野党の信頼関係」や消費税などの税制改革の必要性を訴えた、福田康夫、麻生太郎両元首相の過去の施政方針演説を引用しつつ、自民党などに協力を求めた。「自民党のカオを立てた呼びかけ」ともとれるが、「消費税10%への姿勢をはっきりさせて欲しい」との皮肉にも聞こえる。

   野田首相の「自民元首相演説を引用」作戦や、岡田副総理らの「10%からさらなる引き上げが必要」論は、当面の「10%へ引き上げ」議論にどんな影響を与えるのだろうか。

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