2024年 4月 26日 (金)

ダクト排出の風で風力発電 「餃子の王将」電力は効率的かで論争

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   「餃子の王将」チェーンの2店が始めた風力発電機が、ネット上で論議になっている。ダクト排出の風を利用するというのは、電力効率上いかがなものかということだ。

   店舗の屋根に、店内の空気を排出するためのダクトが突き出ている。その前で、3つのプロペラが回っているのが、新設された小型風力発電機だ。

「排気効率悪くなるだけじゃ?」

発電効率巡って論争に
発電効率巡って論争に

   「餃子の王将」を展開する王将フードサービスでは、2012年7月ごろから埼玉県内の草加店と滋賀県内の三雲店に、この発電機をチェーン店で初めて設置した。ダクトからの風と自然の風の両方を利用してプロペラを回すもので、ダクトの風の方が強ければそちらに向く、いわば風見鶏だ。最大出力は500ワットで、5ワットのLED照明なら100個までまかなえる。

   これは店の電力の数%に当たり、店内照明の一部が充てられる計算になるという。発電機は、プロペラの形状や材質から騒音が少なく、微風でもプロペラが回るタイプだとしている。

   ところが、風力発電利用が一部の新聞で9月12日に報じられると、ネット上では、発電のあり方について、次々に疑問が出された。

   それは、ダクトに風を送る店内の換気扇に負担がかかって、換気扇の電力を余計に食ってしまい、発電の意味が乏しくなるのではないかということだ。2ちゃんねるのスレッドには、「排気効率悪くなるだけじゃ?」「総合的にはマイナスじゃないのか・・・」といった書き込みが相次いでいる。「それならそもそも換気扇のパワー落として運転したほうが、節電になる」という指摘もあった。

   この発想は、「永久機関」の愚を犯すことではないかとの声も多い。飛行機や車にプロペラをつけて発電すれば、それだけ燃料がかかるのと同じで、エネルギー的にはマイナスになりかねないということらしい。

   さらに、風力発電機のプロペラが油まみれになって、清掃代がかさんだり、内部が詰まったりしないかといった指摘なども出ていた。

ダクトから離し、捨てた風力を使う

   一方で、「調理で出た余計な熱の上昇気流で発電とかならいい」「きっとプリウスが電気作ってるのを参考にしたんだろうな」といった声もあり、論議が続いている。

   風力発電機の効率性について、王将フードサービスの環境問題対策室では、問題ないと考えて導入したと強調する。

「発電機をダクトの内部に設置すれば、確かに、店内の扇風機に負担がかかることになります。設置する前にエネルギー保存の法則のことが気になりましたので、発電機メーカーに確認したところ、そうした懸念はないとのことでしたので、導入しました」

   油まみれになる心配もないという。「ダクトの長さが数十メートルもあり、そんなに油が外に出ることはありません。定期的な清掃契約はしていますが、それもそんなにお金がかかるものではないですよ」

   とはいえ、発電機のプロペラがダクトの方に向けば、店内の扇風機に負担がかかることはないのか。

   発電機の施工・管理をしている「eソリューションサービス」では、担当者が次のように説明した。

「ダクトに近づけるとそれがありますので、発電機とダクトの排気口を離して距離を取っています。ですから、基本的に、エネルギーのロスになる、捨てた風力の分を使って発電していることになるんですよ。ダクトの圧力が若干損失することはあるかもしれませんが、排気が戻されるわけではないので、ダクトの能力が落ちた分で発電機のプロペラを回していることにはならないと思います」

   なお、調理で出た熱による風は起きていないといい、部分的にもそれを利用しているわけではないという。

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