2024年 4月 30日 (火)

特集「尖閣最前線・石垣島はいま」第2回
沖縄メディアは「基地問題」に熱心 領土は「穏便報道」、住民の危機感薄い

市長は「置き去り」、衆院選の争点にもならず

   沖縄県内でも、中山市長の主張に同調する自治体はほぼ皆無のようだ。米軍基地問題や、米軍普天間飛行場における新型輸送機「オスプレイ」配備への反対には団結する半面、尖閣問題では中山市長が「置き去り」の状態になっていると、仲新城氏は指摘する。

   2012年12月の衆院選では、尖閣問題は争点になったのか。石垣市が含まれる沖縄4区からは5人が立候補したが、あまり強く触れなかったり、「平和的に解決を」などという主張だったりしたそうだ。「候補者は、これが民意だと思っていたのでしょう」(仲新城氏)。

   確かに市民の間では、中国での激しい反日デモの報道に触れたことで、尖閣について以前よりは関心や、石垣市の行政区域にあるとの意識は高まっているようだ。しかし仲新城氏によれば、大半の地元メディアが長年「領土問題は穏便に解決しよう」との論調を守り、沖縄県と石垣市も危機感を促すような動きは見せてこなかった。このような環境が長い間続けば、石垣市民が急に「尖閣が危ない、何とかしよう」と具体的に行動を起こすとは考えにくい。

   だが、日中関係が冷え込んだままでは状況が悪化する恐れがある。取材した市民の中には「何か起きれば最初に石垣島が攻められるのではないか、という恐怖心はある」と打ち明ける人もいた。それでも今のところ、市民の間では「対岸の火事」ととらえる空気が大勢で、切迫感はあまりないように思えた。

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