2024年 4月 30日 (火)

輸出減少は一時的なのか、構造的なのか 日本経済の行方はここにかかっている

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円安で輸出がそれほど増えるとは限らない?

   それ以前の問題として、海外への直接投資で得られる収益、つまり所得収支が、貿易収支の動向と並んで、大きなポイントになる。その収支の前提になる日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)は2012年1年間で515件と、前年から13.2%増え、1990年の463件を上回って22年ぶりに過去最高を更新した。金額も、円高のため円換算が目減りしたにもかかわらず、同14.9%増の7兆3389億円と、過去3番目に多かった。国内景気の低迷の中、円高を背景に海外投資への企業の意欲の高まりを示している。

   この海外投資が円安で失速する懸念もある一方、海外から日本に戻ってくる所得収支の黒字は円安により円換算では膨らむプラス面もある。「直接投資の進展で、海外に生産拠点をかなり移していることもあって、経済の教科書に書いてあるように、円安で輸出がそれほど増えるとは限らない」(官庁エコノミスト)との指摘がある一方、「数カ月先には輸出数量増加もあって、海外、特に米国の景気回復にも支えられて、貿易赤字は緩やかながら減っていく」(民間シンクタンク)との見方もある。

   輸出減少を一時的と見るか、構造的と見るかで、経常収支の見通しへの見解も別れるが、その動向は、アベノミクスの成否を含め、日本経済の行方を見極める上で目を離せない。

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