2024年 4月 25日 (木)

「孫の水浴び」写真が「児童ポルノ」扱い イギリスでの逮捕例に日本で不安の声

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   水浴びをしている孫の姿をおさめた写真を保存したパソコンを修理に出したら、児童ポルノ所持の容疑で逮捕された――こんなイギリス人男性の話が、ネットを騒がせている。

   日本では「単純所持の禁止」を盛り込んだ「児童ポルノ禁止法改正案」が国会に提出されたばかり。

「児童ポルノ単純所持違反がホントに実施されるとこうなるという実例なわけだよ」

などと不安が広がっている。

容疑は「挑発的なポーズをしている裸の子どもの写真を保存していた」

   顛末はあるイギリス在住の女性が「夫(弁護士)のクライアントの話」として、「プライベートに関わるため、細部は異なる」と断った上で、2013年5月5日にブログに英語で書き込んだ。

   この男性は70代前半で、結婚して40年以上になるが、警察のお世話になったことはこれまで一度も無かった。ノート型パソコンを使って、インターネットで趣味について調べ物をしたり、家族や友達と連絡を取り合ったりしていた。

   ある日、そのパソコンがうまく動かなくなった。そこで近くの修理店に持ち込んだところ、パソコンの中から「裸の子どもの画像」がたくさん出てきたとして、通報されてしまったという。

   イギリスではすでに児童ポルノ画像の単純所持が禁止され、刑事罰の対象となっている。

   やってきた警察は写真を見ると、パソコンを押収し、どんな写真だったかを文章に書きとめた。そして、男性は逮捕され、取調べのために連行されることに。

警官「挑発的なポーズをしている裸の子どもの写真を保存していただろう」
男性「そんなことしていませんし、何のことを言っているのかもわかりません!」

   こんなやり取りの後、男性は「レベル1児童ポルノ所持」の容疑者となってしまったというのだ。

   「レベル1」は児童ポルノの中ではもっとも軽度のもので、わいせつな行為をともなわないが、性欲を喚起するようなポーズをふくむもの、とされる。

   ところが、後になって男性の弁護士が、この「挑発的なポーズをしている裸の子どもの写真」について調べたところ、写っていたのはなんと男性の孫が裸で水浴びをしている姿で、「挑発的」という言葉とは程遠いものだったという。

   要するに、警官が現実とはかけ離れた悪意ある記述をしたために、無実の男性が罪に問われてしまったというわけだ。

日本の「児童ポルノ規制法改正案」に「単純所持禁止」規定

   これはイギリスの話だが、日本のネットでも大きな注目を集めている。

「今回見事以前から懸念されていた『孫の写真持ってたら逮捕』と言う事例がイギリスにて見事に実例となりました」
「児童ポルノ法案に賛成している人は、日本をこういう世の中にしたいってことだよねー」

   ツイッターや2ちゃんねるなどのネットでは、こんな不安が広がっている。

   自民・公明・日本維新の会が2013年5月29日、議員立法により国会に共同提出した「児童ポルノ規制法改正案」には、今回イギリス人男性が逮捕された根拠である「単純所持の禁止」が新たに盛り込まれているからだ。

   「改正案」をめぐっては、表現の自由を損ねるという抗議がクリエイターからあがっているほか、児童ポルノの定義であるところの「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態で性欲を興奮させるものの姿態」について、なにをもって「性欲を興奮させるか」が、運用側の解釈次第になってしまうという問題点などが指摘されている。

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