2024年 4月 29日 (月)

鹿児島県の職員1000人上海研修 総額1億1800万円に県民大反発

   鹿児島県の伊藤祐一郎知事が提案した、1000人の県職員を中国・上海へ派遣する「短期特別研修事業」が波紋を広げている。

   一人あたり11万8000円。総額1億1800万円にのぼる研修費用は、県が負担する。共産党県議団が鹿児島市内の繁華街で行った街頭アンケート(1時間で291人が協力)では、9割以上が「反対」と答えた。

「上海路線の維持がきわめて危機的な状況にある」

1000人の職員研修で「鹿児島‐上海」航路は生き残れるのか?(写真は、鹿児島県のホームページ「ようこそ知事室へ」から)
1000人の職員研修で「鹿児島‐上海」航路は生き残れるのか?(写真は、鹿児島県のホームページ「ようこそ知事室へ」から)

   鹿児島県の伊藤知事は県議会が始まった2013年6月7日の施政方針演説で、国内外からの観光客の誘致を進めることで県を活性化する、「力みなぎる・かごしま」を実現する、と語った。

   なかでも、力を入れている海外からの観光客誘致については2012年の外国人観光客数が、同3月にチャイナエアラインが新規就航した「鹿児島‐台北」線による台湾からのツアー客の増加で、「前年を大幅に上回った」と胸を張る。

   県によると、13年4月の海外からの宿泊客をアジアの地域別にみると、台湾6593人(構成比54.6%)が最も多く、「勢い」は続いている。以下、韓国2286人(18.9%)、中国615人(5.1%)、香港344人(2.9%)、シンガポール366人(3.0%)の順だ。

   見てのとおり、台湾からの観光客はチャイナエアラインの「就航効果」が現れているが、中国東方航空が就航する「鹿児島‐上海」線は、さっぱり。

   尖閣問題や中国の大気汚染の影響を受けて利用状況が低迷。4月以降は鳥インフルエンザの発生が加わり、「毎月数便の欠航が生じるなど、路線の維持がきわめて危機的な状況にある」と、伊藤知事は説明する。

   鹿児島空港に上海への直行便が就航したのは2002年8月。中国東方航空と日本航空の共同運航便が週4往復運航し、利用者数も順調に推移してきたが、11年の利用客は1万9761人(搭乗率55.4%)。12年は1万6989人(同47.5%)と、とうとう搭乗率が5割を下回った。

   そこで中国東方航空などは3月から週2往復(水・土)に減便。県が「このままでは定期便が消えてしまうかもしれない」と、焦った。1000人もの職員を上海に派遣する狙いも、ここにある。

一人あたり11万8000円高すぎる

   鹿児島県の「短期特別研修事業」は、2013年6月7日から始まった議会に補正予算案に計上。可決すれば7月上旬から職員が派遣される運びとなる。

   県によると、対象となる職員は一般行政職と教職員のそれぞれ500人を、20回に分けて50人ずつを3泊4日の日程で派遣する。費用は、現地での宿泊ホテル代1万2000円(4000円×3泊)、航空運賃4万円に、チャーターバスや通訳などを加えて、一人あたり11万8000円と弾いた。

   それでも、民間ツアーならば上海3日間の旅で3万~7万円が相場とされ、あまりにも割高。しかも財源が、政府の求めに応じて削減する県の特別職や管理職の給与や手当、1億3000万円というから、「形を変えて給付するようなもの」といった批判につながっている。

   加えて、「あまりにその場しのぎ」との声も少なくない。「観光客誘致のためというのであれば、現地(中国)でのPRに力を注ぐべき」との指摘もある。

   県が上海などでのPR活動に充てている12年度の費用(利用促進費)は、今回の研修予算とほぼ同額の、1億8076万円にのぼる。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中