数多のアイドルがしのぎを削り、「アイドル戦国時代」と言われる昨今。売り上げや知名度を見ると、AKBをはじめとする48グループ、モーニング娘。'14、ももいろクローバーZが3強のようになっている。そんな時代に、彗星のごとく現れた女性6人組グループがいる。彼女らの名前は「でんぱ組.inc（でんぱぐみインク）」だ。聞き慣れない名前と思う人が多いかもしれないが、実は今人気、売り上げともにうなぎ上り。一体どんなグループなのか？前作を2万5000枚以上も上回る売り上げ「でんぱ組.inc」公式サイト2014年3月10日～16日のオリコンCDシングル週間ランキングは、1位が27万6799枚を売り上げた、3月12日発売のHKT48「桜、みんなで食べた」。人気ビジュアル系ロックバンド「JanneDaArc」のボーカル・yasuさんのソロプロジェクト「AcidBlackCherry」の「君がいない、あの日から…」（3月11日発売）が、5万7075枚を売り上げて2位につけた。そして3位が、4万3959枚を売り上げた、でんぱ組.incの「サクラあっぱれーしょん」だった。オリコンランキングトップ3入りはグループ初となる。このシングルは、4曲入りCDのみの「通常盤」に加え、ミュージックビデオやメーキング映像などが収録されたDVDが付く「初回限定盤A」、特製ステッカー付きで、当たりには生写真が封入される「初回限定盤B」、さらにメンバーそれぞれのソロ曲が収録されたメンバーソロ盤が6種類、メンバーソロ盤と通常盤の7インチアナログ盤が7種類の、計16種類で発売された。特典の豊富さや種類の多さが売り上げを伸ばしたのは間違いないだろうが、この初週売り上げ枚数は、前作の「W.W.DII」を2万5000枚以上も上回った。さらにハロー！プロジェクトの人気グループ「Juice＝Juice」（3万9379枚）、「Berryz工房」（3万6950枚）、「スマイレージ」（3万4132枚）の最高初週売り上げ枚数を上回ったのは快挙といえるだろう。「いじめられてた」「ネトゲだけしてた」赤裸々に過去歌い話題に「でんぱ組.inc」は08年、秋葉原のライブバー「ディアステージ」の店員が集まって結成された。全員がオタク趣味を持っているのが特徴で、現在は90年代アニメソングと声優ソングオタクのリーダー・相沢梨紗さん、ゲーム、ダンスオタクの古川未鈴（ふるかわ・みりん）さん、「オタク研究」オタクの夢眠ねむ（ゆめみ・ねむ）さん、アニメ、マンガオタクの成瀬瑛美さん、ネットゲームオタクの最上もが（もがみ・もが）さん、コスプレオタクの藤咲彩音さんの6人で、「萌えキュンソングで世界に元気を発信♪」をコンセプトに活動している。元気な曲だけでなく、メンバーそれぞれの思い出したくない過去を赤裸々に歌うという、アイドルらしからぬところもある。13年1月発売の「W.W.D」は「いじめられ部屋にひきこもっていた」、「学校なんか行きたくなかった。ネトゲだけしてた」など、自らの暗い部分を歌詞にして話題になった。そんな「でんぱ組.inc」の魅力について、ネット上では「とにかく曲がいい」「不健康なところが魅力」「自分の過去と重ねて共感して好きになった」などと書き込まれている。業界からの評価も高い。ライターの柴那典さんは、13年4月発売の音楽雑誌「MARQUEE」に「『カオス』なのがでんぱ組の魅力だと思うわけです。ワチャワチャしてる。見せ方にしても、キャラクターにしても、今までにないミクスチャーになっている」と寄稿した。ロッキング・オン・ジャパン編集部の小柳大輔さんは13年9月、ブログで「でんぱ組にしか歌えない、でんぱ組が歌うからこそ意味があり、でんぱ組が歌うからこそ琴線に震わせる、そんな必然的な名曲を引き寄せ、歌い続けている」。「W.W.D」を作詞・作曲した「ヒャダイン」こと前山田健一さんは、12年12月のブログで「陰の部分がモチベーションになってたりして、アイドルをすることで自分の居場所を見つけた6人組なのです。（中略）6人の歌声には、怨念クラスの言霊が注入されています」と語っている。
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