2024年 5月 1日 (水)

キリンは新体制で「再成長」できるか HDは磯崎氏、ビールは布施氏が社長に

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   キリンホールディングス(HD)は2014年12月22日、三宅占二社長が代表権のない会長に退き、国内飲料事業を統括するキリンや、事業会社キリンビールの社長を務める磯崎功典氏が社長に就任する人事を発表した。

   競争激化の業界の中でもひときわ厳しい立場に置かれているキリン。新体制で「再成長」を図ることができるか、注目が集まっている。

ブラジルで「高い買い物」

「磯崎体制」への期待高まる(画像はイメージ)
「磯崎体制」への期待高まる(画像はイメージ)

   新人事は2015年3月末の株主総会を経て正式決定する。キリンビール社長は2015年1月1日付で、キリンビールマーケティング社長の布施孝之氏が就任した。

   三宅氏がHD社長に就任したのは、サントリーHDの経営統合交渉が破談した直後の2010年3月。それ以降、逆風にさらされた5年間だった。

   国内のビール事業は、三宅氏がHD社長に就任する前の2009年、アサヒビールを逆転し、9年ぶりに首位にたった。しかし2010年に早くも陥落し、その後もアサヒとの差は開く一方。アサヒには時価総額でも差をつけられ、2013年中間期は連結売上高もサントリーホールディングス(HD)に抜かれた。

   海外では2011年、ブラジルのビール2位、スキンカリオール・グループ(現ブラジルキリン)を、計3000億円を投じて買収した。中国、米国に続く世界3位のビール消費大国であるブラジルの成長余地は大きいとみていたが、首位のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)の牙城を崩せず「高い買い物」(アナリスト)と言われる羽目になる。

「負の連鎖」を断ち切れるか

   2013年1月には、国内での総合飲料事業をてがける中間持ち株会社のキリンを設立。キリンビール、清涼飲料のキリンビバレッジ、ワインのメルシャンを統括し、飲料におけるキリンブランドの向上を図った。国内で資金を確保し、海外で投資を進める狙いだったが、組織が複雑になって責任の所在や情報共有がうまくいかず、狙い通りに収益力を高めることはできなかった。

   三宅時代の「負の連鎖」を断ち切り、輝きを取り戻せるかが磯崎氏に課せられた大きな課題だ。まずはキリンHD、キリンのそれぞれの取締役が自社の執行役員を兼務し、さらに両社間でも執行役員を兼務することで、一体的、機動的な運営を図る。さらに海外事業強化のために、ブラジルキリンやキリンホールディングスシンガポール社について、HDに担当役員を置く。

   磯崎氏は、営業、海外、経営企画など幅広い部門を渡り歩き、早くからポスト三宅の「本命」と目されていた人物。三宅氏は新人事発表の記者会見で、磯崎氏を後継指名した理由について「大きな組織を引っ張る求心力が必要。経営者としての視点、粘り強さ、リーダーシップなどを高く評価している」と述べた。一方、磯崎氏は「(キリンが)復活できるか否かは、今後数年の取り組みにかかっている」と背水の陣で改革に取り組む覚悟を強調した。磯崎氏がキリンを変えていくことができるのか、注目される。

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