2024年 4月 29日 (月)

FBからツイッター、そしてインスタグラムでも 後藤さん救出「I AM KENJI」世界に広がる

   イスラム過激派組織「イスラム国」に拘束された日本人ジャーナリスト、後藤健二さんを救おうとフェイスブック上で「うねり」が起き始めた。

   「I AM KENJI」(私は健二)と書いた紙を掲げて写真を撮影、投稿することで後藤さんとの連帯を示すという試みだ。呼びかけに応じる人は、世界に広がりをみせている。

韓国や香港、マレーシア、豪州、インド...

西前さんが呼びかける「I AM KENJI」(フェイスブックより)
西前さんが呼びかける「I AM KENJI」(フェイスブックより)
「『I AM KENJI』と書いたカードを持って写真を撮り、自分のページにポストしてください。友達に呼びかけてください」

   フェイスブックで2015年1月21日に日本語と英語でこう投稿したのは、ニューヨーク在住の映像プロデューサー、西前拓さん。報道によると後藤さんとは長年親交があり、イスラム国が拘束しているとの映像がインターネット上に公開されて以降、「健二さんを返してほしい、健二さんを救ってほしい」と繰り返し訴えている。

   初めは自身の個人ページで呼びかけたが、すぐに専用ページを立ち上げた。西前さん自身が写真を載せると、世界中から続々と賛同者が「I AM KENJI」の紙を持ったり、写真やイラストの上に「I AM KENJI」と書いたりして写真を投稿した。日本人はもとより、在日外国人の数も少なくない。韓国や香港、マレーシア、豪州、インド、また英国やフランス、カナダと海を越えて次々に寄せられてくる。自分はイスラム教徒だという人は、「今、後藤さんの身の上に起きていること」、すなわち自由を奪われて命の危険にさらされていることに強く抗議するとメッセージを残した。

   1月25日にはツイッターにもアカウントを開設。さらに写真共有サイト「インスタグラム」でも、筆で「私は健二」と書く人や、手のひらに大きく文字を載せる人など、工夫を凝らした写真が多い。著名人も徐々に写真を投稿し始めた。テレビの情報番組のコメンテーターとしても知られる東京大学教授のロバート・キャンベル氏、在米ジャーナリストで「ウォールストリートジャーナル」などにコラムを連載していた津山恵子氏らが参加した。1月26日付の朝日新聞電子版によると、3年前に後藤さんの通訳を務めたシリア人のムーサ・アムハーンさんも手書きした紙を胸の前に広げた写真を掲げた。

「いいね」は5日間で1万3000件超える

   「I AM KENJI」の運動が数日で世界的な広がりを見せたのは、非道なイスラム国に対する反発が大きいのと同時に、戦地での取材では常に弱者に寄り添っていた後藤さんの人柄が理解されているのかもしれない。例えばシリアでは、空爆を受けた街で逃げ惑う市民と、重傷者を救い出すレスキュー隊の動きをテレビ番組でリポート。危険な様子は、戦闘の最前線と何ら変わらない。現地の人々が国際社会に救いを求めている悲痛な叫びを通して、日本ではいまひとつ大きく扱われていないシリアの現状を伝えていた。

   フェイスブックに「I AM KENJI」ページが開設されて以降、「いいね」の数は5日間で約1万3000件を超えた。ツイッターでもフォロワー数が増えている。

   メッセージを書いたカードを持って交流サイト(SNS)に投稿することで、主張を伝える手法はこれまでにもあった。最近では、イスラム過激派の連続銃撃テロに襲われたフランスの週刊紙「シャルリー・エブド」の例がある。同紙の風刺画がイスラム教を冒とくしたとして、武装した犯人が編集部を襲撃し多数の犠牲者が出た。事件後、フランス各地で開かれた追悼集会では出席者が黒地に白抜きの文字で「私はシャルリー」と書かれたカードを持ち、犠牲者を悼みつつ連帯の意を示した。SNSにも多くの投稿があったようだ。

   アフリカ・ナイジェリアで2014年4月、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」がおよそ270人の女子生徒を拉致した事件では、「少女たちを取り戻せ(BRING BACK OUR GIRLS)」というメッセージが使われた。2014年のノーベル平和賞受賞者、マララ・ユスフザイさんや米オバマ大統領夫人のミッシェルさんらが、 この言葉が書かれたカードを手にした写真を撮影、SNSに載せている。

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