2024年 4月 30日 (火)

「前立腺がん」5年後に男性のがんトップ 自覚症状なし、でも治療法はあるぞ

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【チョイス@病気になったとき】(NHK)2015年9月19日放送
「どう対処?前立腺がん」

   前立腺がんは、男性特有の生殖器「前立腺」の中にできるがんだ。多くが50歳以上で発症するが、最近、急激に増えてきた。2020年の東京オリンピック時には、肺がんを抜いて日本の男性が罹(かか)るがんのトップになると予想されている。しかも自覚症状がほとんどないのが特徴。

   番組の冒頭で、Kさん(72歳)のケースが紹介された。2年前のある日、突然背中が痛くなり、立てなくなった。整体師に行ってもらちがあかず、病院に行くと「前立腺がん」と診断された。がんが背骨に転移していた。気づいた時は、かなり進行している例が多いのだ。

  • 前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ
    前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ
  • 前立腺がんは自覚症状がなく、かなり進行してから痛みが出る。腰痛にも要注意だ

50歳になったら1度は受けたいPSA検査

   MCの浜島直子と星田英利が、ゲストの高橋悟・日本大学医学部教授に聞く。

浜島「こわいですね~。私の旦那、50代ですから他人事ではありません」
星田「なぜこんなに増えているのですか?」
高橋教授「50~60代から70代にかけて見つかるがんで、高齢化が進んだのが理由です。もう1つは、PSA(ピサ)検査という画期的な前立腺がんの発見法ができて、これまでなら他のがんや病気で亡くなっていた方が、実は前立腺がんにもかかっていたことがわかるようになりました」

   PSAとは前立腺の中にできるタンパク質で、がんができると細胞組織が壊れて血液中に流れる。その量が基準値を超えるとがんの疑いが強くなる。血液検査だけでわかる簡単な方法だ。番組で紹介されたTさん(71歳)はこの方法で早期発見・早期治療に成功した。東京都板橋区が55歳以上の全区民を対象に行っている「PSA検査」を5年前に奥さんの勧めで受けてみたら、基準値の倍の数値が出た。「私が今、番組に出て話しができるのはPSAのおかげです」。

高橋教授「板橋区では昨年約4400人が受けて、57人にがんが見つかりました。約1%以上です。普通のがんは検診で見つかるのが約0.2%ですから、PSA検査がいかに優秀かわかります。これをやっておけば、見逃すことはありません。50歳になったら1度は受けましょう」
浜島「絶対旦那に受けさせないと! 人間ドックの項目に追加させます」

   前立腺がんの治療方法は3つだ。手術、放射線療法、ホルモン療法である。

星田「それぞれの方法のメリット、デメリットを教えてください」
高橋教授「手術は完治の可能性が一番高いですが、前立腺をとりますので、尿失禁や性機能障害になる場合もあります。今は性機能神経を温存する方法があるので、7割はED(勃起障害)を避けられ、普通の性生活ができます。放射線療法も非常に進歩していて、手術並みの完治が期待できますが、周辺の臓器に放射線が当たると炎症の心配があります。前立腺がんは男性ホルモンの影響で起こるので、注射や飲み薬で男性ホルモンを減らすのがホルモン療法です」
星田「がんが男性ホルモンをエサにしているので、やらないようにすると...」。高橋教授がうなずく。
浜島「(心配そうに)声が高くなるとか、体の変化はないんですか?」
高橋教授「女性化はしませんが、乳房が大きくなったり、少しポッチャリしたりすることはあります。デメリットはEDやほてり、筋肉や骨が弱くなり、骨粗しょう症になったりすること。女性の更年期に似た症状ですね」

81歳ボディビルダーが筋トレを続けられるピンポイント療法

   ここで、3年前に前立腺がんが見つかったKさんが番組で紹介された。81歳というのに全身筋肉がムキムキの現役のボディビルダー。Kさんは高齢なので手術は不可能、筋肉を落とすホルモン療法を拒否し、放射線療法にも不安があった。そこでKさんが行なった「チョイス」が、「ショウセンゲン」だった。「小線源療法」のことで、約5ミリの微細なカプセルを50~100個前立腺に埋め込むのだ。カプセルは1年間放射線を出し続け、周辺の臓器を傷つけることなく、がん細胞を退治する。おかげでKさんは現在もマシンで筋トレを続けている。

星田&浜島「ハア~、ショウセンゲン、すごい! まさにピンポイントで、がんをグサグサやっつけてくれる! コレ、一番いい感じの治療法ですね」
高橋教授「確かに手術と同等か、それ以上の効果はありますが、がんが前立腺の中に留まり、悪性度が低いという条件があるのが難点です」

ええっ、がんをただ見ているだけで治療になるの!?

   最後に番組に登場したのが、3年前に前立腺がんが見つかったSさん(63歳)だ。Sさんの治療法というのが、意外や意外、「あれが治療と言えるんでしょうか。主治医はただ見ているだけですよ」(Sさん)。1年に1回、「前立腺針生検」という細胞組織を取り出し、がんの進行度をチェックするだけなのだ。主治医は「まだ、観察でいきましょう」と、それ以上の治療はしない。

星田「コレ、こわいよ~。ほったらかしじゃないですか! Sさん怒っていますよ、医者の怠慢だろうって(笑)。先生、これも治療ですか?」
高橋教授「はい、監視療法です。前立腺がんは進行が遅いのが特徴。最近わかってきたのは、治療しなくてもいいがんもあるということ。あと何年という本人の平均余命と、がんがゆっくり進む成長速度を考えて、PSAで進み具合を見ながら、危なくなったら治療を始めても大丈夫なのです」
星田「確かに治療は体に負担がかかりますから、がんが悪さをしそうになったらパンチを繰り出せばいいわけですね。刑事ドラマにありますが、医学の世界にも『悪い奴を泳がせる』というやり方があるんですねえ」
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