2024年 4月 19日 (金)

身元不明遺体を「常時50~60体」保管 「そんな施設があったのか」と注目集める

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   大阪・西成区には、身元不明遺体の保管所がある――。葬儀場を展開する「公益社」が運営する施設で、火葬する遺体を取り違えるミスが起きていたというニュースが、ネット上で意外な注目を集めている。

   ネットユーザーが強く関心を寄せる対象は、遺体取り違えのミスそのものよりも、身元不明の遺体を「常時50~60体、最長で数か月間」保管している施設の存在の方だ。こうした施設は、全国的に存在するものなのだろうか。それとも、西成区に特有のものなのか。

  • 16年3月10日の発表を機に、「遺体保管所」への注目が急上昇(画像は燦ホールディングス公式サイトより)
    16年3月10日の発表を機に、「遺体保管所」への注目が急上昇(画像は燦ホールディングス公式サイトより)
  • 16年3月10日の発表を機に、「遺体保管所」への注目が急上昇(画像は燦ホールディングス公式サイトより)

遺体は「受け入れ日時」や「番号」で管理

   葬儀業最大手の燦(さん)ホールディングス(HD)は2016年3月10日、子会社の「公益社」が運営する大阪・西成区の「ステラ事業所」で、火葬する遺体を間違えるミスが14~15年にかけて2件起きていたと発表した。うち1件では、別人と取り違えて火葬された遺骨が、自治体を経由して全く別の遺族へ渡されていた。

   発表によると、15年7月に遺体を火葬場へ搬送する際、本来なら6月15日に引き受けた遺体を出棺するはずだったが、誤って19日搬入の遺体を出棺。遺体は誤ったまま火葬され、遺族には別人の遺骨が渡された。社員らはミスに気がついたが、事態を隠蔽するため、15日の遺体を19日のものと偽って火葬場へ搬送したという。

   その後、関係者から事情を打ち明けられた遺骨を受け取った遺族が、16年1月に同社へ問い合わせて事故が発覚した。指摘を受けて燦HDが実施した社内調査で、2014年にも同様の事案が1件見つかったという。

   こうしたニュースに対し、ツイッターやネット掲示板などでは「ありえない」「ふざけた会社」と呆れるような声が上がった。だが、それ以上にネットユーザーの注目を集めたのは、「身元不明遺体を管理する専門施設」そのものだ。実際、ネット掲示板を見ると、「死体預かり業なんてのがあるんだ」「いったいどんな施設だよ」といった投稿が数多く見つかる。

   燦HDの経営企画部はJ-CASTニュースの16年3月11日の取材に対し、施設の概要について、

「事業所は大阪府警と契約しておりますので、大阪各地の警察から引き受けた身元不明の遺体を常時50~60体、多いときは100体以上保管します。それだけの数を収容するため、かなり広い部屋全体を保冷庫にして、棺に入れたままの状態で管理しております」

と説明した。引き受けた遺体は、受け入れ日時と警察の署名や番号で管理していたという。

「そうした施設が存在するというのは、初めて聞きました」

   ステラ事業所では、遺体の保管期限は定めていないというが、警察の調査や身元引受人の確認が長引けば、最長で数か月ほど預かる場合もある。保管中に身元引受人が見つかれば引き渡し、それ以外の場合は火葬場まで搬送・出棺する。実際の火葬手続きや遺骨の管理は自治体が行うという。

   また、同様の施設が他に存在するかを燦HDに尋ねると、「当社が運営する身元不明遺体の保管施設は、全国でこのステラ事業所だけになります」と答えた。競合他社が同様の施設を運営しているかについても、「把握していない」という。

   全日本葬祭業協同組合連合会にも、ステラ事業所のような施設が他に存在するか尋ねたが、「当団体では把握しておりません」との回答だった。

   さらに、全国各地のホームレス支援団体が加盟するNPO法人「ホームレス全国支援ネットワーク」は、「そうした施設が存在するというのは、初めて聞きました」と答えた。理事によると、「通常は警察が遺体を保管し、自治体が依頼した葬儀業者が直接引き取って火葬することが一般的」だという。

   どうやら、かなり珍しい存在のようだ。一般の人には縁遠い存在のようにも思えるが、アルバイト情報「タウンワーク」ウェブ版には、ステラ事業所の求人募集が見つかる(直近では、2月中旬まで募集。現在は応募停止)。身元不明の遺体を出棺する搬送スタッフを募集していたページには、「ほとんどの方が未経験スタート!」「やりがいを感じながら働けるお仕事です!」といった明るいキャッチコピーが並んでいた。時給は1450円だった。

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