2024年 5月 1日 (水)

エコカー減税「延長」に立ちはだかる 「不祥事起こした業界が要求できるのか」論

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   2017年度税制改正で、エコカー減税が焦点の一つになっている。環境性能の高い自動車の取得や保有にかかる税を軽減する制度で、2017年春に期限を迎え、自動車業界が維持・拡充を求めている。ただ、三菱自動車の燃費データ不正の余波で、「不祥事を起こした業界が減税を要求できるのか」(与党税調関係者)との声もあり、議論は一筋縄ではいきそうにない。

   車を買うときは自動車取得税と自動車重量税を納める。車検のたび重量税を払うほか、普通車には自動車税、軽自動車は軽自動車税が毎年かかる。一方、国交省が定めた燃費基準の達成度合いに応じた減税措置がある。

  • エコカー減税は2017年税制改正の焦点の1つとなる。(画像はイメージ)
    エコカー減税は2017年税制改正の焦点の1つとなる。(画像はイメージ)
  • エコカー減税は2017年税制改正の焦点の1つとなる。(画像はイメージ)

消費増税との関係

   自動車には、購入時にかかる自動車取得税(地方税)、車検時にかかる自動車重量税(国税)、毎年の自動車税・軽自動車税(地方税)がある。取得税のエコカー減税では、燃費性能に応じ、非課税の電気自動車などから20%まで軽減を受けられる。重量税のエコカー減税は燃費性能により25~100%の減税になる。自動車税と軽自動車税は、エコカーを買った翌年度の税を軽くする「グリーン化特例」があり、25~75%軽減される。

   自動車税制の議論は消費税と密接に関係する。というのは、取得税と消費税の「二重課税」が消費税導入以来の懸案だからだ。2013年度税制改正で、消費税が10%になる2015年段階で取得税を廃止するとしたが、1回目の消費税引き上げ先送りを受け、2014年度税制改正大綱では、2017年4月とされた消費税率10%への引き上げと同時に取得税を廃止し、地方財源に穴があかないよう、購入時に燃費性能に応じて課税する新税の導入を明記した。エコカーの普及促進と一石二鳥の狙いだったが、消費増税の再先送りで、取得税が2017年3月末まで継続されることになった。

   取得税見合いで、自動車税が同じ2017年3月、重量税は4月末が期限とされており、この3税の扱いを2017年度税制改正で決めなければならない。

   政府・与党は、2019年10月の消費税率10%引き上げ時まで、基本的に3税を2年半延長する方向だ。ただ、現行のエコカー減税は甘すぎるとの声もある一方、日本自動車工業会(自工会)などは低燃費車の税負担を軽くするエコカー減税の延長に加え、持ち主が毎年支払う「自動車税」のさらなる負担軽減策をうかがい、議論の行方は霧に包まれる。さらに、三菱自の燃費不正も影を落とす。

減税の対象絞り込みなどが焦点に

   2015年度から適用している今のエコカー減税は普通乗用車の新車では、実に8割が対象になっていて、与党税調では「現在の技術からすれば甘い」との議論があり、対象車の絞り込みを進める構えを見せる。具体的には、平均燃費を上回る車に重点化するといった案が検討対象になりそうだ。

   自動車業界にとっては複雑な自動車関連税の簡素化や抜本的な負担軽減は悲願。特に消費税との二重課税という主張は正論であるだけに、業界として消費税率10%への引き上げを改革実現の絶好の好機と位置づけ、陳情を重ねてきた。例えば消費増税後は自動車購入初年度の自動車税免税といった案も浮上している。消費増税は延期されたが、景気減速で大規模な経済対策が再び講じられるような場合、消費から町工場まで幅広く波及する自動車分野だけに、税負担軽減が受け入れられる余地があるとの期待もある。

   税収減を何より懸念する財務省・総務省にとって、業界の要望は受け入れがたいところ。エコカー減税を延長するにしても、燃費不正を最大限に「利用」し、国土交通省や自動車業界に対し、不正対策の徹底を求めつつ、減税の対象絞り込みなどを主張するとみられる。

   党、政府、業界を巻き込んだ議論は年末の税制大綱委決定までもつれそうだ。

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