2024年 5月 2日 (木)

クッキーにシンナーが入り込んだ 放置しただけで「毒物化」あり得るか

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   出しっぱなしにしていたクッキーをかじったら、口の中がしびれるような刺激が走った――。

   模型製作が趣味だという人物のツイートによると、模型製作や塗装に使う部屋に2日間置いていたチョコクッキーを食べたところ、こんな事態になったそうだ。まるで毒物混入を思わせる恐ろしさだが、真相はいかに。

  • どうしても放置クッキーを食べたい場合はまず匂いを嗅いで(写真と本文は関係ありません)
    どうしても放置クッキーを食べたい場合はまず匂いを嗅いで(写真と本文は関係ありません)
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クッキーやチップスには「細かい穴」がある

   この人物の2017年3月22日付のツイートによると、チョコクッキーにはテカリがあり、捨てようと思いつつ口にしてしまったという。その後臭いを嗅いでみると「ラッカー溶剤ボトルを直接嗅いでるような、それより酷い臭いがした」。その後もしばらく鼻の奥や舌に違和感があったようだ。

   本人は原因について、「2日ほど置いていただけでクッキーの細かい穴が活性炭の様な役割をしたらしく、空気中のシンナーを吸収してシンナークッキーになっていた」と考えている。塗装をしているすぐそばにクッキーを置いており、そもそもシンナーの近くにあったようだ。ただ、クッキー以外にも様々なものがあったはずだ。クッキーだけが活性炭のようにシンナーを吸着することはあり得るのか。

   匿名でJ-CASTヘルスケアの取材に応じた食品メーカーの担当者は「そうした事態が発生する環境は特殊だが、十分あり得る」と話す。

「活性炭と食品はまったくの別物なので、活性炭と同等の吸着能(気体や液体の中に含まれる物質を吸い寄せる能力)はありませんが、クッキーやチップスにも吸着が起きやすい細かな穴があり、そこにシンナーなどが吸着されることはあるでしょう」

   ただし、一般的な家庭の台所に出しっぱなしにしされていたクッキーがシンナーまみれになるわけではない。今回のように模型作りが趣味でシンナーなどを使用する機会が多いといった特殊な条件下で発生する。

   さらに、クッキーのような特定の食品ならではの理由もあると指摘する。

「シンナーに含まれる『トルエン』や防虫剤に使用される『ジクロロベンゼン』は、水に溶けにくく脂分に溶けやすい成分です。そのため、脂分が多いクッキーやチップスに吸着しやすい傾向もあるようです」

   海外で購入したクッキーの事例で、包装容器の印刷に使われたインクにトルエンが含まれており、クッキーを食べようとしたところシンナー臭があったという事例も確認されている。これは、東京都福祉保健局が食品安全情報サイト「食品衛生の窓」で2010年2月13日に公開した「化学物質の食品への移行」という資料にも記載されていた。

包装容器も完璧ではない

   では、包装容器に入って密封されている食品はどうだろう。今回でも、クッキーが袋に入ったままなら問題はなかったのか。

「包装を確認しないと何とも言えませんが、それでもシンナークッキーになっていた可能性はあります」(前出のメーカー担当者)

   2008年に日清食品のカップめんを食べた女性が吐き気を訴え、調査したところ衣類の防虫剤やトイレの防臭剤などに使われる「パラジクロロベンゼン」が検出されたことがあった。日清食品の調査研究や警察に捜査によって、密封されたカップめんでも防虫剤のそばに数時間置くだけでかなりの量が吸着されることを確認したという。

   現在ではカップめんメーカー各社が容器に「移り香注意」と表示しており、容器の構造をより厚くするなど食品への吸着対策は進んでいる。ただ、ガラスや金属と異なりプラスチックやポリエチレンは目に見えない穴があり、完全な密封は難しい。

「もちろんメーカーは製造や保管に細心の注意を払い、消費者に届くまで少しでも安全性を高められるよう工夫しています。消費者も今回のようなリスクがあることを踏まえ、有機溶剤や防虫剤、消臭剤の近くに食品を放置、保管しないといった注意をしていただければと思います」
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