2024年 5月 7日 (火)

「おいしく食べる」がダイエットの近道 太って中毒になる「危険な味」と「夢の味」(前編)

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【美と若さの新常識】(NHKBSプレミアム)2017年4月20日放送
「スリムボディーの近道 『舌』に注目」

   世界3大美女の1人、唐の楊貴妃は「美」のためにラクダ、ツバメ、スッポンを毎日食べた。しかし現在、「高級食」にこだわらなくても「美」と「若さ」は手に入る。

   番組ではスリムボディーを手に入れる方法として、「味覚」が重要であるという最新研究を次々に紹介した。「中毒」になり、肥満のもとになる「危険な味」。その逆に、「おいしく食べられ、しかも、やせさせてくれる」という「夢の味」があるという。

  • 実は焼肉は中毒になる「危険な味」だった
    実は焼肉は中毒になる「危険な味」だった
  • 実は焼肉は中毒になる「危険な味」だった

内臓にも「味覚センサー」があり、おいしいものを喜ぶ

   番組では冒頭、「この2つの食品のうち、どちらにダイエット効果があるか」というクイズが出された。次の2つだ。

(A)おいしそうなディナー:ミートボールスパゲティー、チーズフライ、エクレア(シュークリームにチョコレートをかけた菓子)、オレンジジュース。
(B)茶色いビスケット状のモノ(実はAのすべてをミキサーに入れてかき回し、フリーズドライにしたもの)。

   両方ともカロリーは同じ710キロカロリーだ。ゲストたちに両方食べてもらうと、みんな(B)を口にすると、「まずい」と顔をしかめた。

ゲストのフリーアナ・高橋真麻「こちら(B)は吐瀉(としゃ)物みたいで気持ちが悪いけど、カロリーが同じならダイエット効果も同じじゃないですか」

   MCのお笑いコンビ・フットボールアワーの後藤輝基が「ハハハハ、そう思うでしょう」と笑いながらこう言った。

「この2つを食べさせた実験では、Aの方が断然ダイエットに向いているのです。Aはおいしいので食後のエネルギー消費が高くなります。その差は5.5キロカロリー。たったそれだけの差?と思うでしょうが、体重52キロの女性が1年間続けると、39キロの距離をジョギングしたのと同じ差になります」

   なぜ、おいしく食べるとエネルギー消費が増えるのか。メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)研究の第一人者、慶応義塾大学の伊藤裕教授が内臓の図を示しながらこう解説した。

「皆さん、味は舌だけで感じると思っていますが、実は内臓にも舌のものと全く同じ『味覚センサー』があるのです。胃、小腸、大腸、すい臓、肝臓...。みんな味覚センサーを持っていて、食べ物が通過していくと、内臓が『おいしさ』を感じて喜びます。おいしいモノを体全体で味わうのです。体が喜ぶと代謝のスイッチがオンになり、エネルギー消費が増えるのです」
高橋「知りませんでした。でも、私は毎日おいしく食べているのに太っちゃうのはどういうわけですか」
MCの後藤「おいしさの中にも『危険な味』があるからです。そのアウトな味の例を紹介しましょう」

脂っこいものが好きな人はタバコ以上の依存症

   番組では、日本女子体育大学水泳部の水球チームの選手に協力してもらった。水球は「水中の格闘技」と呼ばれる過酷なスポーツだ。練習後の選手6人に焼肉店で思う存分、カルビやロースを注文してもらった。次々とお代わりをし、6人で合計120人分の肉を食べた。丼のご飯まで平らげ、1人あたり約3000~4000キロカロリー分を食べた。成人女性の2日分を1食でとった計算だ。さらにその後、全員が甘いデザートを注文した。スイーツは別腹に入るようだ。

   実は、彼女たちは「危険な味」を2つもとっている。肉(脂肪の味)とスイーツ(糖分の味)だ。「危険な味」とは「お箸が止まらなくなる味」なのだ。

MCの後藤「彼女たちは毎日ハードな運動でエネルギーを使っているから大丈夫ですが、このような食生活をずっと続けていると、味の好みがその後の人生を大きく変え、不健康になってしまいます」

   ところで現在、20歳の時より5キロ以上太っている人は多いだろう。肥満と味覚の関係を研究している国立国際医療研究センターの松下由美医師は、「20歳の時より5キロ以上太った」約3万人を対象に「好みの味」を調査した。ラーメンのスープの「こってり味」、ケーキの「甘い味」、塩の「しょっぱい味」、梅干しの「酸っぱい味」の4つから選んでもらうと、もっとも太りやすい味は1位が「こってり味」、2位が「甘い味」だった。「しょっぱい味」と「酸っぱい味」は肥満とは関係がなかった。「こってり味」が好きな人は、きらいな人に比べ、肥満になる割合が45%も高かった。

   「こってり味」とは水球の女子選手たちの箸が止まらなかった「脂肪の味」のことである。「脂肪の味」は依存性がきわめて強い。MCの後藤は「高脂肪は栄養世界の麻薬である」と強調した。「依存症の四天王」という言葉があるが、1位がコカイン、2位が高脂肪、3位がタバコ、4位がアルコールという。脂肪はタバコよりも「クセになる」味なのだ。

「脂肪」は脳細胞を自殺させ、食欲のブレーキを壊す

   「脂肪の味」の恐ろしさについて、味覚と脳の研究をしている琉球大学の益崎裕章教授はこう解説した。

「マウスに動物性脂肪を食べさせる実験をすると、どんどん食べ続けてやめられなくなります。太るばかりか脳に異変が起こり、もっと食べたい、もっと食べたいとなるのです。脳神経を調べると、細胞が黒く変色し死んでいます。細胞が自殺するのです。この現象は、特に視床下部という食欲をコントロールするところで起こります。ここは、『もっと食べたい』という食欲のアクセルと、『満腹だからもう十分』というブレーキの両方が働く場所ですが、細胞の自殺でブレーキがダメージを受け、脳がいくら食べても満足できない状態に陥ってしまいます」

   益崎教授は、沖縄県の深刻な健康問題を解決しようと「高脂肪」の研究を始めた。1995年頃まで日本一の長寿県だった沖縄だが、男性の肥満率が2010年代から断トツの1位を続けている。沖縄古来の健康な魚食文化がすたれ、米軍の「肉食文化」が浸透したためだ。

   ゲストでポッチャリ系のお笑い芸人・バービーが言った。

「私もお肉大好きだから、自分のことを言われているようで怖いです。確かに焼肉を食べると、『おいしい!』じゃなくて、『気持ちいい~!』と言っちゃいます。もう中毒なのかしら」

   伊藤教授がこう解説した。

「栄養素というと、脂肪、炭水化物、タンパク質...と同等に考えがちですが、脂肪だけは特別で、私たち専門家にとっても得体の知れない存在です。体にためこむとエネルギー価が高く役に立つのですが、処理し切れないと腸にたまり炎症を起こします。腸は神経が張り巡らされて『第2の脳』と呼ばれるくらいです。たくさんの神経が脳につながっていますから、腸の炎症が脳に伝わり、ブレーキが利くところが利かなくなる。昔から『脂っこいものは中毒になる』と言われるのは本当なのです」

   しかし、この危険な「脂肪の味」も、別の「ある味」を食べると中毒が改善するばかりかダイエットにもなるという。「おいしく食べると体中が喜んで活性化する」と番組の冒頭で紹介したのは、その「味」のことだ。「赤ちゃんが大好きな味」という「ある味」とは何か。後編に続く。

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