2024年 4月 25日 (木)

SNSで人気爆発!金田一少年「犯人たちの事件簿」 異色スピンオフの誕生秘話を作者に聞く

   密室殺人、アリバイ作り、偽装工作――鮮やかな「トリック」の裏では、犯人たちがこんなに苦労していた? ミステリー漫画『金田一少年の事件簿』のスピンオフとして、そんな「犯人視点」の物語を、あなたはご存じだろうか。

   その名も、『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」だ。2017年7月に漫画アプリ「マガジンポケット(マガポケ)」で連載開始されるやいなや、ツイッターなどを通じて人気が広がっている。異色の漫画が生まれたきっかけは? 作者の船津紳平さん(28)、担当編集者の冨士川哲也さん(33)に9月29日、J-CASTニュース記者がインタビューした。

  • 「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」より
    「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」より
  • 「金田一」ではお約束の「怪人」も、実行は一苦労/「犯人たちの事件簿」より
    「金田一」ではお約束の「怪人」も、実行は一苦労/「犯人たちの事件簿」より
  • 「名探偵の孫」と遭遇した犯人の心境は…/「犯人たちの事件簿」より
    「名探偵の孫」と遭遇した犯人の心境は…/「犯人たちの事件簿」より
  • 入れ替わりトリックの慌ただしさも描写/「犯人たちの事件簿」より
    入れ替わりトリックの慌ただしさも描写/「犯人たちの事件簿」より
  • 「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」より
  • 「金田一」ではお約束の「怪人」も、実行は一苦労/「犯人たちの事件簿」より
  • 「名探偵の孫」と遭遇した犯人の心境は…/「犯人たちの事件簿」より
  • 入れ替わりトリックの慌ただしさも描写/「犯人たちの事件簿」より

『金田一』はテレビアニメ版から入った

   『金田一少年の事件簿』(原作:天樹征丸・金成陽三郎、漫画:さとうふみや)といえば1991年に「週刊少年マガジン」でスタート、95年にはKinKi Kidsの堂本剛さん主演でドラマ化されるなど一世を風靡し、今なお『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』として断続的に連載が続く、日本を代表するミステリー漫画の一つだ。

――さっそくですが、本作の企画の始まりについてお聞かせください。

冨士川(以下、敬称略) 僕が小学生のときに堂本剛さん版のドラマが始まるなど、『金田一』世代だったこともあって、何かスピンオフ企画ができないかと考えていたんです。ある日、先輩編集者と話し合っていた中でふとこの企画を思いついたんですね。話してみると、「すごく面白い。原作の天樹先生に投げる価値があると思う」と言ってもらえて。そこから、この作品を描いてくれる作家さんを探す段になったんですね。

   名探偵・金田一耕助の孫、金田一一が、「謎はすべて解けた!」の決め台詞とともに、犯人のトリックを暴いていくのがご存じのとおり、原作の見せ場だ。一方、『犯人たちの事件簿』では主に初期の作品を元ネタとして、その犯人たちの視点から、彼らが事件を遂行するため奔走する姿を描く。

   そんなスピンオフの作者として、声をかけたのが『ルポ魂』『はじめての田中論理』などの作品がある、船津紳平さんだった。

船津(同) 正直なことを言うと、『金田一』を読んだことはなかったんです。

――え、そうだったんですか?

船津 小さいころにTVアニメ(97年~2000年)を見ていたんですけど、ほとんど覚えていなくて......。
そこで「オペラ座館の殺人」(※編注:「金田一」最初の事件)を読んだんですが、「めちゃめちゃ面白い!」となって。でも、シリアスだし、しかも感動的なドラマがあるわけですよ。「これ僕が描いて大丈夫なのか!? ファンの人たちに怒られるだろうな...」。と心配でした。そもそも人が人を殺すという極限状況を描くという、企画自体が正気の沙汰じゃない(笑)。ただ、挑戦的な新しい企画だと思いましたし、これは描いてみたいな、と。

   本作の犯人たちは、犯罪遂行のため実に涙ぐましい努力を重ねている。「トリックって金がかかる...!!」と述懐したり、予定外の殺人をしてしまい頭を抱えたり、小道具作りに悪戦苦闘したり――そして何より、最大の障害は金田一だ。苦労して用意したトリックを容赦なく暴く金田一は、犯人の側からすれば「お前さえ......お前さえいなければァァァァァ!!」(作中より)という天敵である。そんな犯人の奮闘、そして苦悩が、最大のみどころとなっている。

船津 死体がめっちゃ出てくる横で、犯人が「やっちまった......!」とか言ってる。「果たしてこれは、面白く読めるのか?」――すごい葛藤というか不安がありつつ、1話分のネーム(内容がわかる下書きのようなもの)を担当に見せたら、今までで一番くらいウケたんです。
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