2024年 4月 29日 (月)

周小川、最後の忠告 中国に近づく「ミンスキー・モーメント」

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「デレバレッジ」か、「現状維持」か

   中国企業の債務は本当にとても危険なのか?一連の事実に目を向けてみよう。

   2014年に中国の非金融企業の債務がGDP(国内総生産)に占める割合は125%と高く、世界の主要な経済圏において第1位となった。

   最も危険なのは、国有企業の債務だ。国有企業が生み出すGDPは全体の25%(民間企業が生み出すGDPの2/3)だが、国有企業の借金が企業全体に占める割合は55%だ。

   問題はすでにこれほど深刻なのに、これまで金融危機が発生しなかったのはなぜか?と問わざるを得ない人もいるだろう。

   その真相について、中国社会科学院の余永定氏は「例えば、商業銀行の状況が危なくなり、流動性の欠如や信用貸出の緊縮が生じたらどうするのか?このような問題は中国では発生しない。四大国有銀行の頭取はみな中国共産党の高級幹部であり、彼らは党と中央政府の指示に沿って速やかに行動する」と語っている。

   しかし、このような方法で危機を遅らせても、その代価は多くの「ゾンビ企業」の出現という形になる。債務水準が累積する一方で、ひとたび危機が勃発するならば、その破壊力は人を驚嘆させるものだろう。

   周小川は何を言いたいのだろうか。彼から見れば、中国は下記の選択問題に直面している。

   A:自己資金を上回るハイリスク取引を解消する「デレバレッジ」をすること。それによって一時的に失業や不良債権、経済成長の鈍化などの短期的な痛みが伴うかもしれない。

   B:たとえ将来的により大きな代償を払うことになるとしても、現在の状態を維持し、短期的な金融の安定を追求すること。

   理性ある政策決定者はAを選択するが、現実においては多くの人々がBを選択することだろう。金融業から去ってゆく際、周小川は、難題である「ミンスキー・モーメント」の時期を後継者にやっとバトンタッチできると、胸を撫で下ろしているのだろうか。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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