2024年 5月 1日 (水)

岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
大統領訪日で、安倍首相を米国人はどう見たのか

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「安倍氏は役者だ」

   一方の安倍首相に対しては、「反論もせずにこびへつらっている一国の指導者に、自分が日本人だったら耐えられない」、「首相の自尊心はどこへ行った?」といった厳しい意見もあるものの、「来賓が誰であろうと、敬意を持って迎えるのが日本人であり、日本の文化だ」、「日本人は忍耐強い。安倍首相は一枚上手だ。結局、器が小さいと思われるのは、彼ではなくトランプ氏だ」と、安倍氏を評価する声も高い。

   さらに、「安倍首相を甘く見るな。トランプの忠実なサイドキックなんかではない。そう見せかけているだけだ」という声もある。

「安倍氏は役者だ。日本人は政治や交渉を、アメリカ人とは違うレベルで行う。アメリカ人は額面通りに受け取るが、日本人は違う」
「日本は軍事的にアメリカに頼らざるを得ない。安倍は自分のメンツより、日本の国民の利益を守ったのだ」

   訪日中、安倍首相は、「DONALD& SHINZO MAKE ALLIANCE EVEN GREATER」(ドナルドとシンゾーは同盟をよりよくする)と刺繍のあるゴルフキャップを用意。トランプ氏はつばの中央に大きく、安倍首相は端に遠慮がちにサインした。

   そのことに触れ、「どこにサインしようと、トランプ氏を手玉に取り、ほしいものを手に入れるのは、安倍氏だ」と訴えるアメリカ人もいる。

   トランプ大統領の訪日で、日米の信頼関係がゆるぎないものになったかのように、日本では報道されている。両国で北朝鮮の非核化を目指し、北朝鮮に対する圧力を最大限にまで高めることで一致した。

   「シカゴトリビューン」紙は、「トランプ氏がおだてに乗りやすいのを、最もうまく利用しているのが、安倍氏だ」とし、日本防衛のための米国の経済的負担や貿易不均衡など、トランプ氏が日本に対する批判をほとんど口にしなくなったことを、その成果だと指摘している。

   しかし、トランプ氏は、米国製の武器の日本へのさらなる売り込みで、北朝鮮問題を貿易不均衡是正と米国内の雇用拡大に関連付けることに成功した。

   トランプ氏と安倍氏。いったいどちらが、ほしいものを手に入れたのか。あるいはどちらも手に入れたのか。武器を手に、日本はより安全になるのか。安倍氏は自分のメンツより、日本国民の利益を守ったのか。(随時掲載)


++ 岡田光世プロフィール
岡田光世(おかだ みつよ) 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計37万部を超え、2017年12月5日にシリーズ第8弾となる「ニューヨークの魔法のかかり方」が刊行予定。著書はほかに「アメリカの 家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。


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