2024年 4月 30日 (火)

商工中金、本当に「完全民営化」できる? 企業再生の高度なノウハウは...

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銀行には「貸しはがし」の過去

   これは、民営化が可能か、という問題にも行き着く。業務の新展開に努め、成果が出れば民営化も可能になるということだが、うまくいかなければ「商工中金の存在意義はなくなる」(検討会座長の川村雄介・大和総研副理事長)との考えと、「危機の時の緊急融資などの対応に商工中金は不可欠」(経産省筋)との考えがぶつかることになる。

   新聞各紙の論調はほぼ民営化論一色。社説(産経は「主張」)では、「4年の猶予期間は長すぎる。......完全民営化の早期実現を目指すべきだ」(日経1月12日)、「政府は一度、商工中金の完全民営化を決めている。リーマン・ショックなどの影響で延期されてきたが、なぜ、その適否を改めて判断しなければならないのか」(産経16日)、「中小企業の安全網として政策金融は重要である。ただ商工中金が担う必要はない。同じ中小企業向け融資を扱う日本政策金融公庫との統合も選択肢のはずである」(毎日13日)といった具合だ。

   ただし、危機への対応に万全を期す必要にも多くが言及していて、「一般の金融機関が保証を得て融資しやすくなるため、商工中金の危機対応に取って代わるとの見方がある。危機対応融資の仕組みも今後、政府系金融機関の日本政策金融公庫などでの対応があり得る。政府には、政府系金融機関全体で業務のあり方を再点検するとともに、非常時の資金供給に万全を期すことが求められる」(読売22日)、「本当の危機時に機動的に使える安全網は、民営化の先送りを繰り返さないためにも不可欠だ」(朝日13日)などと指摘している。

   中小企業関係者は、「銀行などは担保や保証がなければ中小企業になかなか融資してくれず、貸しはがしに走った過去もあり、国の中小企業支援制度を手掛ける政府系金融機関は絶対に必要」という。

   「4年後では不正融資問題の記憶も薄れ、改革の機運もしぼんでしまう」(毎日社説)恐れもある。商工中金がどんな業務に取り組み、どう変わっていくか、変わらないか、国民の監視の目が重要だ。

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