2018年 9月 24日 (月)

中国出生数が「雪崩」的減少 「一人っ子」政策撤廃でも増えないワケ

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   中国・国家統計局が2018年1月末に発表したデータによると、2017年の出生数は1723万人で、2016年の1786万人より63万人減少した。

   2017年の出生率(ある地域の一年間の出生数の平均人口数に対する割合)は千分率で表すと12.43‰(単位=パーミル)で、2016年の12.95‰より下がった。

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国の推計より300万人も少なく...

   注意すべきは、実際の出生数と以前の公式推計データとの差が非常に大きかったことだ。国家衛生・計画生育委員会の王培安副主任が編集責任者となった『全面両孩(完全に第二子の生産を許可する)政策の実施による人口変動測算研究』では、「一組の夫婦に2人の子どもの出産を全面的に許可する政策(=全国両孩政策)」が出された後、2017年の出生推計数は最低でも2023万2000人とされていた。しかし、ふたを開けてみれば、実際の数字は推計数よりも300万人も低いものとなった。

   2017年の出生数は人口学・経済学界に大きな衝撃を与え、日本のマスコミも取り上げたが、中国の多くのメディアは、この出生データを、「雪崩」のような下落、「断崖式下降」(崖から落ちてくるような低下)などという表現を用いて報道した。

1982年に始まった産児制限

   ここ数年、人口研究に大きな力を注いできた著名な企業家である梁建章氏は、この件について次のようにメディアに発表している。

「われわれの以前の予測では、出生数は2017年にピークに達し、この年の出生数は1800万となり、その後の10年で毎年30万~80万というペースで減少する見込みだった。しかし、今の状況を見ると、出生数の雪崩の到達は予想したよりも早く、より猛烈な勢いであるようだ」

   この推計は国の権威ある機構の推計よりはるかに当たっている。「計画出産」、言い換えれば、40年間ずっと人口増加を制限してきた国家衛生・計画生育委員会の専門家は、本当に中国の人口政策を講じる力を持っているのか。2017年のデータを見れば、中国では誰でもそう疑わざるを得ない。

   1950年代以降の中国の出生率は、最初37‰だったのが、70年代中後期は20‰前後のレベルにまで下がった。1982年、中国共産党第12回全国代表大会で産児制限が基本国策とされた後、厳格な「一人っ子政策」が全面的に行われ、出生数は1991年には20‰以下に下がった。この後、出生率は下がり続け、2000年以後、産児制限はしだいに緩和され、2002年には各地で次々と両親が一人っ子の場合は第2子が許可されるようになったが、出生率は依然として低迷し、2013年には12‰前後となっていた。

   2013年末、夫婦のうち片方が一人っ子の場合には第2子が許可される政策が採択され、出生率はわずかに上昇したが、それを維持するのは難しく、2015年には出生率はまた大幅に下がった。2016年、一人っ子政策を全面的に廃止する政策が実施され、出生率は12.95‰にまで上昇したものの、2017年には再び下落した。

子育てにかかる巨額のお金

   出生数の減少が続けば、一連の経済的・社会的危機につながる。現在の状況から見ると、産児制限の撤廃だけでは、もはや中国の人口の危機を解消するには全く足りず、このため、多くの学者ができるだけ早く出産奨励政策を実施するよう呼び掛けている。

   梁建章氏によれば、出生数が予測より大幅に低かった背後には子育て意欲の低迷がある。子育て意欲が低迷する一つの重要な理由は、子育てにあまりにお金がかかることにある。現在の中国の大都市では、子どもが一人生まれてから大学に入るまで、平均で一人当たり毎年約2万~3万元もの費用がかかる。これには両親の逸失利益や時間と精力の投入というコストは含まれておらず、大卒初任給が5000元ほどの中国では大きな負担となっている。

   子育て世代の子育て負担を減らすためには、政府は子育て中の家庭に対して財政的に支援する必要があり、子どもの数に応じて税金を下げる、直接的に手当てを支給するなどが考えられる。

   梁建章氏は、日本に学ぼうと主張している。

「長期的に低い出生率の影響を受け、日本経済はずっと振るわない。いかにして出生数を上げるかということが、日本社会の難題になっている。今年1月9日の英国『エコノミスト』誌は、奈良県の奈義町で補助金などの子育て支援政策を実施したのち、合計特殊出生率が1.4から2.8に上昇した。この朗報に、出生率の低迷に苦しむ日本社会は光明を見出すことができると報じている」

   しかし、梁建章氏の意見に賛同する政府の関連機構は、いまだにほとんど見ない。「雪崩」のような出生率の下降は、中国ではしばらく止められないだろう。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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