ディライトワークスの開発フロアにて。J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太(南海キャンディーズ)(奥)こんにちは、J-CASTニュース「ネットニュースの明日」編集部です。今回の「ネットニュースの明日」の取材でJ-CASTニュース名誉編集長の山里亮太さんがお邪魔しているのは、スマートフォン向けゲーム「Fate/GrandOrder(フェイト/グランドオーダー)」(FGO)を作っているディライトワークスさんです。FGOは、国内で約1400万ダウンロードを突破し、世界では3000万以上ダウンロードされている人気ゲームです。スマホゲームとしては珍しい、とても練り込まれた非常に長いストーリーが特徴で、主人公と一緒に戦う「サーヴァント」というキャラクターは、歴史や神話上の人物や英雄をモチーフにしており、こちらも人気があります。※FGOってどんなゲーム?という方はこちらから。1回目は、FGO第2部開発ディレクター カノウヨシキさんに、FGOの魅力や開発のこだわりを伺いました。(1回目:山里亮太が潜入「Fate/GrandOrder」の世界 人気スマホゲームの制作舞台裏)今回はいよいよ"聖域"へ潜入します。関係者以外立ち入り禁止の「開発フロア」です。メディアがここに入るのはとても珍しいこと。というのも、一般的にゲーム制作会社の開発では、数か月から数年先のものを作っていると言われており、社内でも限られた人しか入ることができないからです。この日、特別に足を踏み入れた山里編集長。とても貴重なレポートを皆さんにお届けします!キャラクターの「性格」さえも動きに取り入れる開発フロアは思っていた以上に広いです。ここでは数十名のクリエイターさんが働いており、みなさん黙々と画面に向かっています。とても静かではあるのですが、ここから見える風景、漏れ聞こえる一言一言が、とんでもない「情報」。そのため、取材中も、緊張感があります。ここでお話を伺ったのは、ディライトワークス開発本部デザイン部部長、辻畑孝信さんです。モニターにはバトル場面のサーヴァント制作画面を映してもらっています。ディライトワークス開発本部デザイン部部長、辻畑孝信さん(左)山里: (画面を見て)えっ、すごっ! リアル......。こうやって作っているんですね。もう自分が見ても何がなんだか。辻畑: バトル場面に表示されるサーヴァントとそのアニメーションを作る画面です。山里: いや、これファンにはたまらない光景ですよね。この仕事で、1番楽しいポイントってどこですか?辻畑: FGOは、キャラクター自体に細かな設定があるんです。やさしいキャラクターだったりかわいいキャラクターだったり。そんなキャラクターの個性をしっかり取り込んでいけるように制作しています。。自分の作ったキャラクターがいきいきと動く。その時は楽しいですね。山里: 性格に至るまで、かなり細かい設定も決まっていて、それに所作を合わせていくのか。すごい作業だな。たとえば武器の振り具合とか、斬った後の体の動かし方とか、キャラクターごとにこだわりがあるってことですよね。辻畑: そうなんです。FGOのキャラクターは、パーツがものすごく多いんです。たとえば、TYPE-MOONさんからいただいた立ち絵とよばれるキャラクターのイラストを基に、腕のパーツとかをパラパラ漫画のように何枚も作っていくんですね。これをアニメーションに仕上げていく、という流れです。山里: もうアニメ制作とほぼ一緒ですよね。辻畑: そうですね。一緒です。エフェクトもサーヴァントごと山里: 昔のRPGのキャラクターって、顔と胴体はそのままで手足がちょっと動くみたいな、そんな感じでしたよね? でも今は、キャラクターの性格まで動きに反映させていて。そのこだわりがユーザーさんを満足させているんですね。辻畑: FGOはサーヴァント(キャラクター)を大切に作り込んでいて、一騎一騎が違うんです。パーツの使い回しとかも、基本的にありません。だからどのサーヴァントも、ユーザーさんに愛していただけるんだと思います。山里: すごいですね。辻畑: それに、サーヴァントが出す炎などのエフェクトも、基本的には使い回しは"なし"にしているんです。山里: え!? 炎も同じじゃないってことですか?辻畑: そうですね。もちろん、一部は(同じものが)あるんですけど、基本的にはそれぞれのサーヴァントごとに作り込んでいきます。必殺技とか、見た目は違いますよね。山里: そういう皆さんのこだわりって、ちゃんとユーザーさんに伝わっているなと思いますか?辻畑: 思います。ファンの方はかなり細かなところまで見ていただいているので、ちゃんと気づいていただけます。また、逆にユーザーさんから指摘をいただくこともあるんですよ。『Fate』という作品を、昔から愛してくださっているユーザーさんが多いので、キャラクターを作り込むことはとても重要なことなんです。山里: とはいえね、ユーザーさんのハードルの上がり方は尋常じゃないじゃないですか。辻畑: 期待されるクオリティはどんどん上がっていて、製作期間は伸びています。弊社では、クオリティにばらつきがでないよう、サーヴァントなどキャラクターを描くときには、1人の担当が線画から完成まで作り込んでいきます。そうなってくると、当然1人の負担が大きくなってくる。だから彩色の部分をほかの人に任せるときもあるのですが、基本は"1キャラクター1担当"ですね。山里: スマホゲームと家庭用ゲーム機を比べたときに、昔は家庭用の方が優れているのかなと思っていたんですけど、今はもう違うんですね。辻畑: そうですね。もうスマホのスペック向上スピードの方がとても速いので。すでに家庭用ゲーム機とか、それくらいのレベルは越えています。山里: スマホゲームは時間つぶし用とか、移動中にちょっとやるものっていう感覚はもう古いんでしょうね。(画面を見ながら)作っている皆さんも、感覚はアニメ制作とほぼ一緒ですよね。これからの野望ってあるんですか?辻畑: さらにクオリティをあげていきたいですね。山里: ストイックですねー。辻畑: 細かく見ていくと、もうちょっとこうしたら、というのが出てくるんですよ。あと、2~3フレーム入れれば、もっとよくなるだろう、とか(笑)。何か「情報」教えてもらえないですか?山里: これね、非常に言いづらいんですけど......。カノウさんにもお伺いしたんですけど、何か「情報」教えてもらえないですかね。これを読んでいる読者さんが喜んでくれるよな"何か"を、どうかお願いします!辻畑: うーん、困ったなぁ(苦笑)。なかなか言えないんですけど......。山里: そこをなんとか! 「山里よくやった!」って言われたいんです。辻畑: (笑)。これからもゲーム初期に実装したサーヴァントもクオリティをあげていくので、どれとは言えないんですが、既存のキャラクターも新しくしていきます。山里: じゃあ今自分が"愛でている"サーヴァントもバージョンアップするかもしれないってことですか。辻畑: "かも"ですけどね(笑)。(おまけ)デスクまわりは基本自由。自分の好きなサーヴァントグッズに囲まれて仕事ができる。これって最高の環境!?次回は、ディライトワークスのクリエイターさんたちの「静かなる戦いの場」、いや憩いの場を取材します。クリエイターさんたちが仕事の合間にやっていることとは...? 次は9月5日(水)公開予定です。お楽しみに!○Fate/GrandOrderゲームブランドTYPE-MOON(タイプムーン)によるゲーム作品『Fate/staynight』を原点として展開する『Fate』シリーズ。そのひとつとして製作されるスマートフォン向けFateRPG。歴史上の偉人などを「サーヴァント」として召喚し、パーティを組んで戦う。全体構成・シナリオ・総監修は奈須きのこ(TYPE-MOON)、リードキャラクターデザイナーは武内崇(TYPE-MOON)が担当。○ディライトワークスゲームの企画・開発・運営を行う。主なタイトルは、企画・開発・運営に携わる『Fate/GrandOrder』や、企画・開発に加わっている『Fate/GrandOrderArcade』など。開発理念は、「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」
記事に戻る