2024年 4月 25日 (木)

「30分待たせる」のはどこまで失礼か 横尾忠則氏の特別展、延期に発展

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   国内外の活躍で知られる美術家の横尾忠則さん(82)の出身地(兵庫県西脇市)にある岡之山美術館は、開幕まであと10日だった横尾さんの特別展の開催を延期すると発表した。

   展示予定の作品の地元制作日に、素材を運ぶ美術館職員の到着まで約30分待たされ、横尾さんが「創作意欲がなくなった」と引き揚げてしまった。その後の日程調整もつかず、延期が決まったという。ネット上では、「遅れる方が悪い」「いや、そんなことで怒るなんて」と美術館側と横尾さん側の双方への批判・同情の声が出ている。

  • 横尾忠則さんには多くの著書もある(画像は『アホになる修行』イースト・プレス)
    横尾忠則さんには多くの著書もある(画像は『アホになる修行』イースト・プレス)
  • 横尾忠則さんには多くの著書もある(画像は『アホになる修行』イースト・プレス)

「制作意欲がなくなった」と引き揚げ

   西脇市岡之山美術館(公益財団法人「西脇市文化・スポーツ振興財団」運営)は2018年9月18日、特別展「横尾忠則 西脇幻想展」(9月28日~19年3月24日)の開幕を延期すると発表した。延期期間は未定。

   美術館の説明によると、展示予定の作品の一部を8月29日、市に隣接している同県多可町の施設で和紙作品を作る予定だった。しかし、材料を運ぶ担当の職員の到着が、横尾さんの到着より約30分遅れ、横尾さんが「創作意欲がなくなった」と、そのまま宿泊先へ引き揚げてしまった。

   横尾さんのその後のスケジュールが詰まっていたこともあり、制作が進まなかったため、9月14日に横尾さん側に開幕延期を伝え、了承を得たという。

   発表を受け、「職員遅刻に立腹、制作進まず...横尾さん個展延期」(読売新聞ネット版、18日)、「職員遅刻で『意欲そがれた』~(略)」(朝日新聞ネット版、19日)などの見出しでニュースが流れると、ツイッターには賛否両論の声が相次いで寄せられた。

   美術館側を批判する意見としては、

「お願いする立場の人間が30分も遅刻したらキレるわ」
「芸術家は気難しいのだから」

といった声が並んだ。一方で、

「昔なら芸術家一流のワガママで通用しただろうけど、今時はどうなんだろう?」
「そんなんで怒るって、ちいさい男やな」
「30分遅刻しただけでご立腹?(略)パワハラとちゃうのか?」

と、横尾さんの対応に厳しい目を向ける人もいた。

   他にも、

「遅刻はきっかけに過ぎないのでしょう。今までの不満があったからだと思う」

と推測する声が複数、見受けられた。

「美術館側の不手際で...」と謝罪

   J-CASTニュース編集部が9月19日、横尾さんの事務所に話を聞こうとしたが、「経緯については、地元市役所の広報に聞いてほしい」とのことだった。西脇市秘書広報課は、「(横尾さん側から)コメントなどはお預かりしておりません。経緯についても、美術館の説明以上のことは分かりません」と回答した。

   また、美術館の担当職員は、「美術館側の不手際で展覧会にふさわしい出品が整わず、ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪した。経緯については、横尾さんを現地へ連れていく職員が時間に余裕をみて出発したところ予定より早く到着し、別の場所から向かっていた材料を運ぶ職員らが着くまで横尾さんを30分程度待たせることになってしまったという。「その点も含めて美術館側の不手際であり、特別展を楽しみにしている人たちのためにも開催へ向け最大限の努力をしていきたい」としている。

   横尾さんは、グラフィックデザイナーとして頭角を現し、のち絵画を主軸とする美術家に。ニューヨークやパリなど世界各地で個展を開き、国際的に高い評価を得ている。小説も発表するなど多彩な活躍を続け、2011年に旭日小綬章を受章するなどしている。

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