2024年 4月 26日 (金)

高橋洋一の霞が関ウォッチ
どうなる2025年万博、大阪誘致と「三つ巴の戦い」

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   フランスというと、ゴーン氏の話題になるが、パリで日本時間23日深夜から24日未明(2018年11月)にかけて2025年国際博覧会(万博)が決まるのも看過できない。

   開催地として立候補しているのは、日本の大阪のほか、アゼルバイジャンのバクーとロシアのエカテリンブルクである。フランスのパリが立候補から離脱したのは大阪にとって好ましく、欧州諸国は日本に好意的といわれる。しかし、アゼルバイジャンはオイルマネーにものをいわせており、ロシアも中国とのタッグでアフリカ諸国を固めており、三つ巴の戦いで、予断を許さない。

  • 大阪の会場予定地は夢洲エリア
    大阪の会場予定地は夢洲エリア
  • 大阪の会場予定地は夢洲エリア

70年万博跡地、半分は国所有だった

   万博の思い出といっても、1970年大阪万博に行かなかったので知らない。

   筆者と万博との繋がりは、第一次安倍政権の時である。官邸参事官だったので、2007年行革で「日本万国博覧会記念機構」の廃止に関わったのだ。

   当時不思議に思ったのは、大阪万博会場の跡地の半分を国が所有していたことだ。他の万博である、つくば科学万博(1985年)や愛知万博(2005年)では、跡地は県所有である。大阪万博も元々は大阪府の所有地で開催したが、跡地の半分を大阪府は国に売却した。跡地の公園管理費を大阪府が負担できなかったからだ。それで、跡地の半分が国有地なので、公園管理という名目で「日本万国博覧会記念協会」が設立された。その後、生き残るために業務を増やして「日本万国博覧会記念機構」となった。いわゆる天下り法人である。

   そのような経緯なので、天下りをなくすことと、そろそろ大阪府に土地を売り渡して本来の大阪府で管理してもらうことのために、「日本万国博覧会記念機構」の廃止を打ち出したわけだ。

   その後、すったもんだして、結局国有地のまま大阪府が借りるという決着になり、「日本万国博覧会記念機構」を廃止する法案が成立したのは、第二次安倍政権になってからの2013年5月であり、実際に廃止されたのは2014年4月だ。企画してから、実施までには多くの時間がかかるものだ。

維新コンビは「夢洲」にかけた

   その過程で、いろいろ関係者から興味深い話を聞けた。大阪府の千里(吹田市)を会場にしたのは、その当時というか最近まで大阪府と大阪市はいがみ合っており、大阪市に美味しい思いをさせたくないためということをいう人もいた。

   それが、今回は、松井大阪府知事と吉村大阪市長が仲良くそろってパリでの最終決定に臨んでおり、昔の「府市(ふし)あわせ」から隔世の感がある。

   大阪が今回、万博会場と予定するのは、夢洲である。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの少し西にある人工島で、大阪市の西端でほとんど更地である。面積は390ha。東京の湾岸地区の臨海副都心(お台場)が440haなので、同規模だ。今度は、国の天下り法人をつくることにはなるまい。

   大阪万博は、湾岸の最後のフロンティアといわれる夢洲の有効活用策だ。2014年当時、橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が提唱し始めた。同時に統合型リゾート(IR)の候補地としても、夢洲を推している。このまま夢洲を「負の遺産」として維持するのか、誘致活動のコストをかけてでも再生、活用するかの究極の選択であるが、維新コンビは後者を選んだ。

   この勝負の半分は、維新コンビの勝ちである。IR推進法は2016年12月、IR実施法も18年7月にすでに成立している。松井府知事が代表を務める日本維新の会は、これらの法律の制定化に大きな貢献をしており、大阪夢洲がIR地区に指定されるのはほぼ確実である。

   残り半分の明暗は、24日には判明する。誘致を期待したい。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「未来年表 人口減少危機論のウソ」(扶桑社新書)など。


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